中部17号の特記すべき特徴
 中部17号は食味極良で、短強稈、白葉枯病にやや強く、多収で穂発芽性はやや難の系統である。


愛知県で奨励品種に採用しようとする理由
 中山間地帯では、峰光は耐倒伏性劣り、白葉枯病にも極く弱く、穂発芽も易で食味評価もやや不十分である。また、大空は耐倒伏性劣り白葉枯病に弱い。
 中部17号は強稈で倒伏抵抗性勝り、白葉枯病にやや強く、多収で穂発芽難の極良食味系統であり、中山間地帯の峰光・大空に替え、秋晴の一部にも替えて、良食味品種の生産安定を図ろうとする。


普及見込み地帯
 中山間地帯


来歴
 「中部17号」は、昭和41年愛知県農業試験場において「関東79号」の良食味系統を母として、短・強稈化およびいもち耐病性強化を目標として「40-11」(後の喜峰・同場稲橋分場育成品種)を父として人工交配を行い、同場で翌年Fl世代を養成した。翌43年に愛知県農業試験場稲橋分場(現愛知県農業総合試験場山間技術実験農場・指定試験担当)がF2種子の分譲を受けてF2世代の集団栽培より個体選抜を実施し、以後、系統育種法により選抜固定をはかってきたものである。昭和47年「稲系36」の名称で生産力検定試験、系統適応性検定試験、特性検定試験に供試し、昭和48年より「中部17号」の系統名で関係各県に配付してその地域適応性を検討してきたもので、昭和55年度は雑種第14代である。
 なお、配布初年度に出徳期の分離がみられたので再固定をはかり、昭和50年以降、固定系統として供試した。


形態的特性
 稈長は峰光・大空より短い短稈種で、穂長は大空・コシヒカリよりやや長く、極数は中位で、草型は中間型に属する。苗はやや短苗で、葉色やや濃く、稈は中位の太さで強剛である。本田の草型は直立型で、止葉は中位でよく立ち、草状は成熟期でも良好である。
 穂揃いはやや良好で粒着中で、短芒を少程度付け、ふ先色は白である。玄米の形状は中位粒大は中小粒で、峰光より厚みをおび、光沢良好で、心白・腹白の発生少なく、胴割れも少なく、玄米形質は良好である。炊飯米は光沢および粘り、うま味優れて、食味は峰光・大空に勝り、極めて良好である。


生態的特性
 育成地での出穂期は峰光・大空より4~5日程度早く、コシヒカリよりわずかに早い極早生種に属する脱粒難の粳種である。
 倒伏抵抗性は大空・峰光より強く、秋晴にも勝り、かなり強い。いもち病抵抗性は、Pi-a、Pi-iの真性抵抗性をもち、圃場抵抗性はコシヒカリより数段強く、峰光に劣るが大空並の中程度とみられる。白葉枯病には、峰光・大空より強く、コシヒカりに勝り、 やや強程度とみられる。ごま葉枯病には峰光よりは弱いが大空同等の強さをもち、イネカラバ工にもやや強く、耐冷性もトヨニシキ並の強程度とみられ、穂発芽性もやや難である。
 収量は、峰光より多く、大空と同等かやや勝り、多収である。


愛知県において奨励品種に採用しようとする理由
 近年、全県下で良質良食味品種栽培の気運が高まり、この地帯でも産米評価が高く、各種障害抵抗性を有する栽培容易な品種の出現が、生産者及び行政から強く要望されている。
 中山間地帯の品種別作付率は、秋晴が50%、峰光が17%、大空・晴々が各11%、日本晴が7%、その他品種数%である。
 秋晴はごま葉枯病に強く、せき薄地・秋落地にも適し、いもち病にも強いが白葉枯病にごく弱く、収量性やや不十分のきらいがある。峰光はごま葉枯病に強く、秋落地にも適して、いもち病に強いが、近年白葉枯病の被害が目立ち、穂発芽性も極易で、更に収量性と産米評価が不十分のきらいが指摘されている。
 一方、大空は平坦地の早植栽培の作付が拡大して、最近は中山間地帯までも栽培がみられるようになってきた。この地帯でも比較的多収で、作付が急増してきたが、倒状が多く、機械化適性が劣り、生産安定に支障をきたすようになってきた。
 中部17号は食味極良の系統で大空・峰光より6cm程度短稈で、草型優れて各種障害抵抗性を備えている。白葉枯病にはやや強程度の抵抗性を備え、ごま葉枯病にも耐え、いもち病には大空同等の中程度の抵抗性を備え、穂発芽性やや難で、カラバ工にも強く耐冷性も強い。収量も峰光に勝り大空同等で多収の系統である。
 以上のことから中部17号はこの地帯の大空の全部、峰光の80%、秋晴の15%、その他品種の60%を代替する品種として奨助品種への採用が望まれている。


配付しうる種子量
 系 統 採 種     5kg
 普 通 採 種    50kg


適地および奨励品種採用予定県
1.適   地
 ごく良食味品種で倒伏抵抗性強く、各種の障害抵抗性を備え、コシヒカリ並の熟期であるので、東海以西の温暖地の中山間地域に適する。
2.奨励品種採用予定県
 愛知県  普及見込面積  900ha


栽培上の注意
1. やや短苗なので稚苗移植の際は浅水灌がいが望ましい。
2. 少肥栽培では十分な能力を発揮しえないきらいがあるので、地力の劣る地帯などでは基肥をやや多めにして、初期生育の確保につとめることが望ましい。
3. いもち病抵抗性は中程度であるが、適期防除に留意する。
4. 晩植条件で出穂期は、コシヒカリより遅くなるので、移植期と出穂期の関連に留意すること。


栽培上の注意(愛知県)
1. やや短苗なので、稚苗移植の際は浅水灌がいが望ましい。
2. 短稈種であるため、少肥栽培では十分な能力を発揮しえない事もあるので、地力の劣る地帯などでは基肥をやや多めにして、初期生育の確保につとめることが望ましい。
3. 強稈であるが、極多肥栽培はつつしむ。いもち病抵抗性は中程度であるが、適期防除に留意する。


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