| 中部125号の特記すべき特徴 |
| いもち病圃場抵抗性に優れる、極良食味のうるち系統である。 |
| 品種登録を出願しようとする理由 |
| いもち病は、平成16年には全国の水稲作付圃場の32%で発生し、この防除のために作付圃場の74%で農薬散布が行われている。このようにいもち病は稲作の最大の病害となっており、生産性の向上、消費者の食に対する安全・安心への関心に応えるためには、いもち病に対する抵抗性品種の育成が急務である。「中部125号」は、いもち病圃場抵抗性と、「コシヒカリ」並の極良食味特性を併せ持つ画期的な特性を有している。特に、本種は葉いもち抵抗性に優れ、その作用力はいもち病に対する農薬防除を省略できるほどである。このため、本種は稲作の安定生産及び国民の安全・安心のニーズに貢献できると考えられ、次年度は、全農による大規模な市場調査が計画されている。
このことから、「中部125号」を品種登録に出願し、円滑な普及拡大を図りたい。 |
| 来歴 |
| 「中部125号」は、1997年に愛知県農業総合試験場山間農業研究所(愛知山間)において「ミネアサヒ」を母とし、陸稲「戦捷」を父として人工交配を行った。1998年に「ミネアサヒ」を2回戻し交配し、1999年に3回目の戻し交配を行った。その後、2000年にかけて世代促進を行いながら、RFLPマーカーを用い、第4染色体上腕部の「戦捷」の作用力の強いQTL領域だけを残し、その他の染色体領域を「ミネアサヒ」に置換するDNAマーカー選抜を行い、第4染色体のG271領域のみ(当時、マップされていたRFLPマーカーの範囲)を「戦捷」型とする、「稲系IL946」を得た。2001~2002年にかけて「稲系IL946」に「コシヒカリ」を2回交配し、2004年には、第4染色体上のいもち病圃場抵抗性遺伝子pi21を両側に挟むPCRマーカーを設定し、B1F2、3000個体について、その領域で組み換えを起こしている6個体を得た。2005年には、その後代、15系統のうち、食味特性が「コシヒカリ」と同等のK14を選抜し、2006~2008年にかけて、愛知山間では主に立毛・いもち選抜、独立行政法人作物研究所(作物研)において立毛・品質選抜、独立行政法人農業生物資源研究所(生物研)において、ゲノム調査を分担し、選抜・固定を図ってきたものである。
2005年B1F4世代で「K14」、2007年B1F5世代で「中部125号」の試験番号を付して、生産力検定試験、特性検定試験及び系統適応性検定試験に供試した。 更にいもち病圃場抵抗性遺伝子 pi21を持つ本系統の収量性、食味特性等の正確な把握を行うため、独立行政法人東北農業研究センター、宮城県古川農業試験場、福井県農業試験場、宮崎県総合農業試験場において生産力検定、特性検定を実施した。 2008年に固定度調査を行い、実用的に固定されたものと判断された。2009年度の世代はB1F8である。 |
| 形態的特性 |
| 稈長は、愛知山間(温暖地中山間)では「チヨニシキ」よりも6cm程度長く、「コシヒカリ」より4cm程度短い。その他の地域では、一部を除き、「コシヒカリ」よりもやや短い“中”、稈の細太は“やや細”である。穂長・穂数は「コシヒカリ」とほぼ同等の“中”である。
草型は中間型に属し、止葉が半立し、草姿は中である。 粒着密度は“中”で、籾には“短芒”を“稀”程度生ずる。ふ色・ふ先色は“黄白”で、脱粒性は“難”である。 |
| 生態的特性 |
| 出穂期は「コシヒカリ」よりもやや早く、愛知山間(温暖地中山間)では“中生の早”に属する。成熟期は、「コシヒカリ」と同等~やや早い。
耐倒伏性は「チヨニシキ」同等~やや弱く、「コシヒカリ」より強い、“中”である。穂発芽性は“難”である。 いもち病真性抵抗性は“+”と推定される。葉いもち抵抗性は“ごく強~強”、穂いもち抵抗性は“強”である。縞葉枯病には“罹病性”、白葉枯病抵抗性は“弱”である。耐冷性は“やや強”である。 |
| 品質及び食味特性 |
| 玄米の粒形は“中”に属し、玄米千粒重は「チヨニシキ」より2g程度軽く、「コシヒカリ」より0.8g程度軽い。粒大は“やや小”である。見かけの品質は、「コシヒカリ」とほぼ同等の“上中”である。
食味は「コシヒカリ」と同等のごく良食味、“上中”である。 |
| 配付しうる種子量 |
| 系統採種 2 ㎏
一般採種 60 ㎏ |
| 栽培適地 |
| 福島以西の地力中庸~肥沃地 |
| 栽培上の注意 |
| 1.耐倒伏性は中程度しかないので、適正な施肥水準を遵守する。
2.遅刈りは品質・食味を落とす原因となるので、適期収穫に努める。 3.良食味米生産のため適期穂肥を励行し、玄米タンパク含有率を高めない。 |