| 普及見込地帯及び面積(島根県) |
| 早期栽培用品種中「フジミノリ」と「コシヒカリ」の中間の熟期のものとして県下一円に適すると考えられる。
普及見込面積 2,600ha |
| 来歴 |
| 「越南37号」は昭和28年に福井県立農事試験場(農林省指定試験)において「テドリワセ」を母とし「農林22号」を父として人工交配を行ない以来同場において系統育種法により選抜固定をはかり、昭和35年度より「越南37号」の系統名をつけて、関係府県その他に配布し地方的適否をたしかめてきたもので、昭和40年度は雑種第12代である。 |
| 形態的特性 |
| 「越南37号」の苗丈はやや長めで葉巾は広く葉色は濃い。挿秧後の分けつの発生はゆるやかで葉巾は広く、葉身は長く、葉色は濃くて粗鋼な感じがするが葉身もいくぶんたれぎみである。最高分けつ期を過ぎると葉色は次第に淡くない農林22号に似た草姿となる。
稈長は「ホウネンワセ」に比べて長く稈および穂首はやや太く、穂長も僅かに長く、粒着もやや密であるが穂数は「ホウネンワセ」より少なく中間乃至やや穂数型に属する。 脱粒性は難で、芒がなくふ先は紅色である。粳種で玄米は「テドリワセ」に似てやや円味を帯び鉛色がやや濃く千粒重は「ホウネンワセ」より僅かに大きく稀に腹白を生ずるが光沢があり品質及び食味は「ホウネンワセ」と大差ない。 |
| 生態的特性 |
| 出穂期成熟期ともに「ホウネンワセ」と略々同程度で育成地では極早生に属する。
稈が太い割合たわみ易く「ホウネンワセ」と大差なく中粒である。ハイモチ病抵抗性は「テドリワセ」より強くホウネンワセと略々同程度であるが首イモチ病抵抗性は「ホウネンワセ」よりやや弱い。モンガレ病抵抗性は「ホウネンワセ」より僅かに優るがシラハガレ病抵抗性はやや劣いともに一般的には中に属する。 カラバエ耐虫性は「テドリワセ」より強く「ホウネンワセ」と大差なく2化螟虫の被害は受け易い。熟色はかなり良好であるが下葉の枯上りがやや早く穂発芽性は「テドリワセ」より難であるが「ホウネンワセ」より難であるが、「ホウネンワセ」よりはやや易である。 収量性は「ホウネンワセ」よりやや優り直播適応性も比較的高い。 |
| 特性概要(採用県-島根県) |
| 「越南37号」は平坦部では出穂、成熟期とも「農林17号」と「フジミノリ」のほぼ中間であるが、山間部では農林17号程度である。草型はやや短稈で「農林17号」より短く「フジミノリ」程度で穂数は「農林17号」より多いが「コシヒカリ」より稍少ない中間~やや穂数型である。稈は稍太いがたわみ易い。葉色は濃く、葉巾は広く、葉身は長く、粗剛な感じがするが、幾分垂れ気味である。穂長は短く、粒着は「農林17号」程度で無芒であり、穂揃いは中~やや良である。ふ色は黄白色、ふ先色は淡褐色で、熟色は良好である。玄米はやや円形中粒で心白、腹白共に極めて少なく胴割も又少ない。千粒重は「農林17号」より軽いが、品質は平坦部では「フジミノリ」に優り、「コシヒカリ」より一段劣る。しかし山間部では「コシヒカリ」と同等以上である。葉いもち病耐病性は「農林17号」より相当強いが、「フジミノリ」より僅かに劣る。クビイモチ病には「フジミノリ」よりやや劣り「農林17号」程度である。その他モンガレ病、ゴマハガレ病には「農林17号」より弱いがシラハガレ病の発病は僅かであった。下葉の枯上りは「農林17号」程度である。カラバエ耐病性は「農林17号」と同等以上であり、メイ虫の被害は極く僅かであった。冷水抵抗性は若干劣り、倒伏抵抗性は平坦部では「フジミノリ」には及ばないが「農林17号」より強く、山間部では「フジミノリ」と同程度の成績を示したが、夛肥条件では倒伏のおそれがある。
穂発芽性は「農林17号」よりやや高くやや易に属すると見られるが、自然条件下での検定では、それ程高くはなかった。搗精歩合は「農林17号」より高く「コシヒカリ」と同等であった。 収量は平坦部では「農林17号」程度であるが、山間部では12%上廻る成績を示し、食味は良好である。 直播適応性は「フジミノリ」に較べて若干劣るが、「コシヒカリ」よりは優る。 |
| 島根県において奨励登録に採用しようとする理由 |
| 島根県の水稲早期栽培は昭和32年に普及奨励に移して以来その栽培面積は逐年年を増加の一途をたどり一時中たるみの様相を呈したが昭和38年には本県水稲作付の1割強(5685ha)を占めた。この間昭和35年には早期栽培用奨励品種として「早農林」と「農林17号」が採用され昭和36年には「フジミノリ」が昭和37年からは「コシヒカリ」が加わった。しかるに「コシヒカリ」の採用と同時に「農林17号」はとかく品質不良の声が高かったために昭和37年度限りの限定品種となり本県の早期栽培の主力品種としての輝かしい足跡を残しながら昭和37年度を最後に遂にその栄光の座を退くに至った。
「越南37号」は「農林17」号の代替品種としてここ数年来検討を加えて来たもので熟期は平坦部では「農林17号」より稍早いが山間部では略々同熟期であり、品質はゆうに及ばずその他の主要特性の大部分についても「農林17号」に比し同等以上と認められたので奨励品種に編入した。 |
| 配布可能種子量(島根県) |
| 2,000kg |
| 配布し得る種子量 |
| 育成地 原々種 14.5㎏ |
| 適地及び奨励品種採用予定県 |
| (イ)適地 主として北陸および北関東の平坦部並びに中山間地帯に適するほか西南暖地も早期栽培にも適するものと思われる。 (ロ)奨励品種採用予定県 島根県 |
| 栽培上の注意 |
| 比較的強稈であるが夛肥条件ではたわみ易いので夛窒素栽培および極端な湿田は避けるとともにメイ虫の防除に留意すること。 |