| 序 |
本報告は昭和2年度以降新潟県に奨励金を交付し、同県農事試験場をして育成せしめたる新品種「水稲農林1号」の特性並び成績を記載せるものなり。
昭和6年4月 農林省農務局 |
| 来歴並び育成経過 |
水稲農林1号は元農商務省農事試験場陸羽支場において大正11年森田早稲を母とし陸羽132号を父として交配を行い、昭和2年農林省指定水稲新品種育成試験供試材料としてその雑種第5代種子の配付を受け、その爾来当場において選抜固定せるものにして、昭和5年3月北陸4号と命名し関係県にそれが種子を配付して地方的適否を確め、昭和6年3月更に水稲農林1号と改称せるものなり。
これが育成経過概要次の如し。 |
| 特性 |
水稲農林1号は北陸地方平坦部の乾田湿田何れにも適する粳品種にして、熟期千葉錦、小田珍光と略同じき極早生種なり。稈は細かく分蘖多く、短稈にして、千葉錦、小田珍光よりもやや強稈なり。芒は無芒にしてふ先紅色を呈す。玄米は形状圓と長との中間にして、小粒に属し、腹白、心白殆ど無く、透明にして所謂飴色を呈し、縦溝浅く、品質良好にして、北陸地方における極早生の重要品種たる千葉錦、小田珍光に代るべき優良品種なり。
これが特性概要左表の如し。 |
| 成績 |
| 水稲農林1号は千葉錦、小田珍光に比し反当玄米収量多く、玄米の検査等級上位にして、搗減少なく、食味佳良にして耐病性弱からざるをもって、千葉錦、小田珍光に代わるべき優良品種なり。 |
| 食味の調査成績 |
| 搗減歩合の調査に使用せし精米の一定容量を探り、水洗いし、「ビーカー」に入れ、品種により加うべき水量を加減し、努めて同一程度の硬さの飯を生ずる如くし、コツホ氏蒸気殺菌釜に入れ摂氏100度にて30分間加熱し、放冷後これが食味を査定せり。素より各人の嗜好により異なるも、10人にて3回試食を行える結果、農林1号はその食味亀の尾1号に比し僅かに劣るも千葉錦1号、小田珍光に比しやや優の概評を得たり。 |

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