| 来歴及び育成経過 |
| 「水稲北陸56号」は昭和20年に新潟県農事試験場における農林省指定水稲新品種育成試験地において「農林22号」を母とし、「北陸26号」を父として人工交配を行い、昭和22年よりは農林省長岡農事改良実験所、昭和26年よりは農林省北陸農業試験場において選抜固定を図り、昭和27年「北陸56号」の系統名を付して、関係県及びその他の県に配付して、その地方的適否を検討中のものであって、昭和30年度は雑種第10代にあたる。
長野県において、昭和31年度に奨励品種に採用の予定である。 |
| 特性概要 |
| 「水稲北陸56号」はヤチコガネより成熟期遅く、農林43号より早い中生偏穂数型の粳種である。稈長は農林43号よりやや長く、ヤチコガネとほぼ等しい。穂長はヤチコガネ、農林43号よりも短いが穂数は多い。
頚稲熱病耐病性は必ずしも強くないがヤチコガネとほぼ等しく、農林43号より強い。葉稲熱病耐病性はこれらの品種よりも強い。 小粒菌核病、胡麻葉枯病耐病性はヤチコガネ、農林43号より弱く、紋枯病耐病性はこれらの品種との間には大差が無い。 稈蝿耐虫性は強く、ヤチコガネよりはすこぶる強く、農林43号とほぼ等しいかやや強い。 成熟時における下葉の枯上りはやや多いが、熟色は良好である。 稈の細太は中位で柔軟性に富んでいるが、倒伏が懸念される。 収量性は極端な多収型ではないが、収量の年による変動は少なく、安定性を有し、多肥、晩植栽培においてもヤチコガネ、農林43号よりも多収である。 ふ先色は白で、芒は極稀に短いのを生じ、粒着は中位で、脱粒は難である。 玄米の形状はやや長めの中型中粒で、玄米千粒重は農林43号より軽いがヤチコガネよりやや重い。 品質はヤチコガネ、農林43号よりやや良いようである。 以上の諸特性並びに試作地の成績より水稲北陸56号は北陸地方中山間地の地力中庸地帯並びに葉稲熱病多発地帯及び稈蝿の被害多い地帯に適するものと思われる。 |
| 奨励品種採用理由(長野県) |
| 本種は農林30号程度の晩生種で、極端に多収品種ではないが、イモチ病に強く良質で、不良環境にも強い安定度の高い品種である。従来の農林30号は少収で葉イモチ病にもあまり強くないので、北陸56号はこれらの欠点を補う品種といえよう。 |
| 配付地域名(長野県) |
| 県下一円の平坦地(一毛作地、紫雲英二毛作地、麦二毛作地)の晩生種として、従来の農林30号の栽培された地帯、更に平坦地で農林10号、29号では晩生すぎる地帯及び南信地方のイモチ病多発地で農林29号の栽培不可能地帯に適するものと思われる。
普及見込面積は、従来の農林30号の1,800町及び農林10、29号及びその他品種の約1200町がこれにかわり、合わせて約3,000町を見込んでいる。 |
| 配付し得る種子量 |
| 約2斗 |
| 配付し得る種子量(長野県) |
| 本県 約2石5斗 |