| 北陸77号の特記すべき特徴 |
| 北陸77号は既存の早生品種に比べて多収で、品質食味も良く、いもち耐病性、耐倒伏性もすぐれている。 |
| 新潟県で奨励品種に採用する理由 |
| 本県の奨励品種は早生、「八千穂」「越路早生」「日本海」の三品種で約31%をしめているが、これらは耐肥性に劣り、かつ、いもち病、倒伏に弱い欠点をもち、作りやすさに難点がある。また最近「フジミノリ」「レイメイ」などの耐肥性品種の作付が増加しているが、品質が悪く、収量も条件による豊凶差が大きい。本系統はこれらの品質の欠点を補い、作りやすいタイプとしてその要望に応えるものであり、米質不良の「フジミノリ」「レイメイ」「日本海」をこれにおきかえ、さらに「八千穂」「越路早生」の一部と代替する方針である。 |
| 対象品種および普及見込面積 |
| 対象品種名 作付面積
フジミノリ 17,600ha レイメイ 6,100 八千穂 8,900 越路早生 24,600 日本海 16,100 その他 13,100 計 86,400 |
| 来歴 |
| 「北陸77号」は、昭和33年北陸農業試験場において「コシヒカリ」を母とし、「収921」(ハツミノリ×藤坂5号)を父として人工交配をおこない、その後系統育種法により選抜固定をはかり、昭和38年「収1218」として生産力検定試験、系統適応性検定試験および特性検定試験に供試した。その結果成績優良と認められたので、昭和40年「北陸77号」の系統名を附し、関係府県に配布して地方適否を検討してきたもので、昭和44年度雑種第11代となる。 |
| 形態的特性 |
| ホウネンワセに比べて稈は太くやや短かい中稈である。穂長は、ホウネンワセよりもわずかに長く中位であるが、粒着は密で、一穂籾数は多い。草型は、偏穂重型であるが穂数はかなり多い。草状は、葉巾がやや広く厚い感じで、止葉も直立し旺盛な生育をたどり、穂揃は良好である。芒は極稀でふ先色は黄白色、脱粒性難。玄米粒形は中、粒大は小、品質は心白がなく、腹白は稀に発現し、飴色で光沢もありフジミノリあるいは日本海よりも良く、ホウネンワセに近い。食味、搗精歩留はホウネンワセと較べて遜色がない。 |
| 生態的特性 |
| 出穂期、成熟期は育成地でホウネンワセより2~3日遅い早生の晩に属する粳種である。耐倒伏性はホウネンワセよりかなり強く強であるが、極多肥栽培で挫折型倒伏となりやすい。いもち病耐病性は、抵抗性遺伝子Pi-iをもつと推定され、圃場抵抗性はやや強と観察され葉いもち病は、ホウネンワセより強く、穂首いもち病はホウネンワセと同程度で、葉、穂首いもち病ともにやや強である。白葉枯病には弱い。穂発芽性はやや難であり、耐冷性はやや強と判定された。収量性は、ホウネンワセ、越路早生などに較べてかなり高く、かつ安定しており、耐肥性も大きい。 |
| 奨励品種採用の理由(新潟県) |
| 現在本県品種の早生には、付図に示したように「八千穂」「越路早生」「日本海」があり、この三品種で約31%の作付面積をしめている。しかし「八千穂」「日本海」はいもち病(「八千穂」はCレース)に弱く、玄米の品質不良、「越路早生」は良質であるが、いもち病に弱く、収量も不安定である上、三品種とも耐肥性におとり「八千穂」以外は倒伏し易く、作りやすさに欠ける点がある。このようなことから最近「フジミノリ」「レイメイ」などの耐肥性の強い品種の作付が増加し、これに対処すべく本県では「フジミノリ」を認定品種に採用した。しかし両品種とも品質悪く、収量も条件によって豊凶の差が大きい。しかも稲作の早生化の傾向が強く、早植、増肥追肥重点的施肥法の傾向もあって、早生の良質多収、耐肥性強く、作りやすい品種に対する要望が非常に強い。「北陸77号」は白葉枯病に若干の疑問はあるが、特性上これらの上記品種の欠点を補い、作りやすい型として早生品種に対する要望にほぼ応えうるものであり、奨励品種に採用して、米質不良の「フジミノリ」「レイメイ」「日本海」を次第に本品種に置換え、さらに「八千穂」「越路早生」の一部代替種として普及したい。また、いもち病抵抗性から中山間地まで普及が可能であろうが、秋落田や地力の低い地帯には不向きと思われる。 |
| 配付しうる種子量 |
| 50kg |
| 適地および奨励品種採用予定県 |
| 1. 適地
東北南部、北陸地方および関東以西の早期栽培地帯にかけて、肥沃地、多肥栽培に適すると考えられる。秋落田や、やせ地には不向きであろう。白葉枯病常発地帯には適しない。 2. 奨励品種採用予定県(普及見込面積) 新潟県(第一次15,000ha) |
| 栽培上の注意 |
| 全般に生育は初期から旺盛で、茎葉は剛い感じで、草姿が良く栽培しやすい。栽培上の注意は次の通りである。
1. 分けつ期頃は葉色が淡いので肥料過多にならぬようにする。 2. 穂数を多くすることにより、多収がえられるので、穂数確保につとめる。 3. 粒着が密で籾数が着きやすいので、一穂粒数が過大になると登熟低下をおこしやすく、また極多肥栽培では挫折型倒伏のおそれがあるなどから、茎数は初期に確保し、頴花分化期頃は、多肥にならないようにする。 4. 白葉枯病には弱いので注意する。 5. 秋落田や少肥栽培をさける。 |
| 適地と栽培上の注意(新潟県) |
| a 適地
本品種は強稈性やいもち病抵抗性にかなりすぐれるので、肥沃地、多肥栽培に好適する。 また、いもち病抵抗性の点から、山間地にも適応するものと思われる。ただし秋落田や、やせ地には不向きであろう。 b 栽培上の注意 本品種の栽培にあたっては、特別の注意は一般に不要であるが、下記の点に注意する。 1. 倒伏にはかなり強いが、極端な多肥は稈質の劣化や登熟の低下をきたしやすいので注意する。 2. ある程度裁植密度を高めるなどによって穂数を増やすような栽培法で多収を図る。 3. 白葉枯病の発生に注意する。 4. 葉枯れを生じやすいので秋落田や少肥栽培をさける方がよい。 |