北陸122号の特記すべき特徴
 食味はコシヒカリに匹敵し,倒伏に強い中生種である。


奨励品種に採用しようとする理由
 福井県における水稲の品種別作付面積は中生のコシヒカリが最も多く,次いで早生のフクヒカリ,晩生の日本晴の順で,これら3品種で粳種の作付面積の93%を占めている。
 フクホナミは昭和54年に小粒のため関西市場で評価が低下したキンパおよびコシヒカリの栽培不適地を対象として奨励品種に採用された。いもち病や倒伏に強く,栽培しやすい特性を持つので,昭和57年から59年までは3,000ha前後の作付面積を維持してきた。しかし,フクホナミは年により腹白,心白を生じ,品質の変動が大きく,また,食味もコシヒカリに比し,若干粘りが不足することから,充分な市場評価が得られなかった。このため,昭和62年の作付面積は630haまで減少した。
 コシヒカリは昭和47年に奨励品種に採用されて以来,市場評価の高いこともあって,良質米奨励の推進に伴って作付面積が増加し,昭和62年には計画を大きく上廻って,16,244ha栽培されている。
 しかし,コシヒカリは良質・美味であるが,倒伏といもち病に弱く,収量が不安定であるとともに上位等級米の少ないこともしばしば認められる。したがって,不適地での作付の伸びは市場評価を落す原因となっている。このため,フクホナミやコシヒカリの熟期で,安全性の高い良質・良食味品種に対する要望が強い。
 北陸122号の諸特性を昭和58年から場内および現地において検討してきた。その結果。北陸122号は熟期がフクホナミより2日早くコシヒカリと同熟期の中生種で,耐倒伏性はコシヒカリに比し明らかに強く,フクホナミ程度で,いもち病抵抗性はコシヒカリより強く,収量性はフクホナミやコシヒカリと同程度であることが明らかになった。また品質は,フクホナミやコシヒカリよりやや優れ変動が少なく,食味はフクホナミに比し明らかに勝り,コシヒカリと遜色ない。
 以上の理由から,北陸122号を県下全域のフクホナミならびに不適地に栽培されているコシヒカリの一部に替えて奨励品種に採用し,本県産米の質的向上を図る。 


普及見込み地帯および対象品種(茨城県)
 県下全域の大空を対象として4,600haに普及する。


普及見込み地帯および対象品種(福井県)
 県下全域のフクホナミおよび栽培不適地のコシヒカリの一部を対象として1,000haに普及する。


来歴
 「北陸122号」は強稈・良食味・いもち病抵抗性の強化を目的として,昭和50年春に収2800 (母)×北陸100号(父)の交配を行い夏にこのFlを母とし,北陸96号を父として3系交配を行って育成したものである。昭和51年春に温室内でF2を養成し,同年夏F2および翌52年F3は苗代放置栽培で雑種集団養成を行った。53年F4で個体選抜を行い,54年F5は単独系統,55年F6以降は系統群系統を養成して選抜と固定を図った。56年F7で収3877の系統番号を付して生産力検定試験および特性検定試験に供試し,57年F8で系統適応性検定試験に供試した。58年F9で北陸122号と命名して関係府県に配布し,奨励品種決定試験に供試してきた。昭和63年度の世代は雑種第14代になる。


形態的特性
 移植時の苗丈はコシヒカリよりやや短く,葉身の形状は同品種に類似し,葉色はやや濃い。
 稈長はコシヒカリよりかなり短く,サチミノリと同程度のやや短稈である。穂長はコシヒカリより短く,粒着はやや密である。穂数はやや少なく,草型は中間型である。籾は無芒で,稃色・稃先色とも黄白であり,脱粒性は難である。
 玄米の形状・粒大は中程度で,千粒重はコシヒカリよりやや重い。まれに心白がみられるが,みかけの品質はコシヒカリよりやや良い。食味はコシヒカリに匹敵し極めて優れる。


生態的特性
 出穂期および成熟期はコシヒカリより1~2日遅い中生の早に属する粳種である。
 稈の太さはコシヒカリと同程度の中であるが,稈質はやや剛い。耐倒伏性はコシヒカリよりかなり強い。いもち病抵抗性遺伝子はPi-iをもつと推定される。葉いもち耐病性は日本晴や藤坂5号と同程度であり,穂いもち耐病性はコシヒカリよりやや強く大空と同程度である。白葉枯病耐病性はコシヒカリや日本晴より弱くトドロキワセより強い。縞葉枯病に対しては抵抗性遺伝子をもたないと推定され,抵抗性は弱と判断される。穂発芽性は日本晴とほぼ同程度のやや易であり,大空よりやや穂発芽し易い。枯れ上がりは少なく,登熟もよく,収量性はコシヒカリと同程度である。


茨城県において奨励品種に採用する理由
 食味および倒伏性に難点があるため,大空の作付は減退傾向にある。食味が極めて優れ,耐倒伏性が強い北陸122号を県下全域の大空に替えて普及し,中生品種の栽培の安定化と品質・食味の向上を図る。


福井県において奨励品種に採用する理由
 食味がコシヒカリよりやや劣り市場評価が得られなかったため,フクホナミの作付は減退傾向にある。食味がコシヒカリに匹敵する北陸122号を県下全域のフクホナミならびに不適地に栽培されているコシヒカリの一部に替えて普及し,本県産米の質的向上を図る。


配付しうる種子量
系統採種 0.6kg
一般採種 150.0kg
合 計  150.6kg


適地および採用予定県
1)適地:北陸・関東以南の高冷地を除く地帯
2)奨励品種採用予定県および普及見込み面積
茨城県  4,600ha
福井県  1,000ha


栽培上の注意
1)縞葉枯病には弱いので,常発地帯は避ける。
2)穂発芽性はやや易であるので,適期刈取に留意する。
3)いもち病,白葉枯病等に対して適期防除に努める。


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