| 特記すべき特徴 |
| 「上育453号」は、中生の粳系統でアミロース含有率が適度に低く、その食味は、「ほしのゆめ」に明らかに優り、「おぼろづき」並かやや優る極良食味である。また、収量性は対照品種に比較して高い。 |
| 優良品種に採用しようとする理由 |
| 近年、北海道産粳米は、品種改良や栽培技術の改善による食味水準の向上および販売面の努力によって全国的な評価を高めている。しかし、ここ数年の北海道は登熟条件が良好であるが、今後の気象条件の変動たよっては食味の低下も懸念される。 一般に登熟温度の低い北野道では、アミロ-ス含有率が高くなりやすく、炊飯米の粘りが弱くなる傾向にある。そのため、高い食味水準を確保するためにはアミロース含有率が適度に低い米が必要とされてきた。「おぼろづき」はアミロース含有率が適度に低く食味が優れる銘柄米として高値で取引されるため、作付面積は年々増加傾向にあり、平成19年には約3,800ha作付けされている。しかし、同品種は玄米粒厚が薄いため収量性が低く、その需要に対して生産量が不足している。
一方、「ほしのゆめ」は北海道米のブランド形成と食味向上に貢献してきたが、食味水準は「おぼろづき」に比べると劣り、収量性も基幹品種の「きらら397」や「ななつぼし」に比べて劣るため近年栽培面積が減少している。 「上育453号」はアミロ一ス含有率が適度に低く、蛋白質含有率も「おぼろづき」に比べやや低いために、その食味は、「ほしのゆめ」に明らかに優り、「おぼろづき」並かやや優る。実需者からは「コシヒカリ」と比較しても遜色のない評価を得ている。また、「おぼろづき」、「ほしのゆめ」に比べ収量性が高い。耐冷性は対照品種に比べてやや劣るが、粒厚・粒重に優るため、冷害時も稔実粒数の不足を補えると予想され、対照品種並の収量を確保できると考えられる。 以上のことから、「上育453号」を「おぼろづき」、「ほしのゆめ」の一部に置き換えて作付けすることにより、極良食味米の安定供給と北海道米の食味向上に寄与できる |
| 普及見込み地帯(北海道) |
| 1)適地 上川(名寄市風連町以南)、留萌(中南部)、空知、石狩、後志、胆振、日高、渡島および檜山各支庁管内
2)対照品種 「おぼろづき」・「ほしのゆめ」の一部 |
| 来歴 |
| 「上育453号」は、平成9年に北海道立上川農業試験場において、極良食味品種の育成を目的に、低アミロース良食味系統の「札系96118」(のちの「北海287号」を母、多収良食味系統の「上育427号」(のちの「ほしたろう」を父として人工交配を行った組合わせから育成された。
交配を行った平成9年の冬期に温室にて養成したF1を葯培養に供試した(23,228葯)。平成10年、温湿に移植したF1A1世代626個体のうち、291個体から採種した。同年冬期温室において系統選抜試験に105系統供試し、40系統を選抜した。平成11年以降は「AC99189」として生産力検定試験、特性検定試験、および食味官能試験を実施した。その中で平成13年から15年は、系統養成と食味官能試験のみを供試し、16年に再度生産力検定本試験を実施した。その結果、有望と認められたので、平成17年に「上育453号」の地方番号を付して関係機関に配付し、さらに平成18年からは現地試験に供試して地域適応性を検討してきた。 平成20年度における世代はF1A12代である。 |
| 形態的特性 |
| 移植栽培における移植時の苗丈は「おぼろづき」よりやや高く「ほしのゆめ」並の“やや短”で、葉色は「おぼろづき」「ほしのゆめ」並の“中”である。本田の初期生育は草丈が「おぼろづき」「ほしのゆめ」並に推移する傾向にあり、茎数は「おぼろづき」並で「ほしのゆめ」に劣る。出穂期の草姿は、上位葉が「おぼろづき」「ほしのゆめ」同様に立ち、良好である。
稈の細太は「おぼろづき」並の“中”で、稈の剛柔は「おぼろづき」並の“中”である。稈長は「おぼろづき」よりやや長く「ほしのゆめ」並の“やや短”、穂長は「おぼろづき」よりやや短く「ほしのゆめ」よりやや長い“やや短”。穂数は「おぼろづき」よりやや多く、「ほしのゆめ」よりやや少ない“多”で草型は“穂数型”に属する。一穂籾数は「おぼろづき」よりやや少なく「ほしのゆめ」よりやや多く、粒着密度は“中”である。ふ色およびふ先色は“黄白”で、“短”芒を“稀”に生じる。脱粒性は“難”である。 玄米の粒長は「おぼろづき」「ほしのゆめ」よりやや短い。粒幅は「おぼろづき」「ほしのゆめ」よりやや広い。玄米の形状は“半円”である。粒厚は「おぼろづき」「ほしのゆめ」よりやや厚い。玄米千粒重は「おぼろづき」「ほしのゆめ」よりやや重く、粒大は「おぼろづき」「ほしのゆめ」と同等である。割籾の発生は「おぼろづき」よりやや少なく「ほしのゆめ」より少ない。 |
| 生態的特性 |
| 出穂期は「おぼろづき」「ほしのゆめ」並の“中生の早”であり、成熟期は「おぼろづき」「ほしのゆめ」並からやや遅い“中生の早”に属する。登熟日数は「おぼろづき」「ほしのゆめ」並である。
耐倒伏性は「おぼろづき」に劣り「ほしのゆめ」よりやや劣る“やや弱”である。障害型耐冷性は「おぼろづき」「ほしのゆめ」にわずかに劣る“やや強~強”である。.幼苗期の低温による出穂の変動性は「ほしのゆめ」並で、出穂遅延型耐冷性は“中”、開花期耐冷性は「おぼろづき」「ほしやゆめ」よりやや劣る“やや強”と判定される。 いもち病真性抵抗性遺伝子型は“Pii,ik”と推定され、葉いもち圃場抵抗性は「ほしのゆめ」よりやや強く、「おぼろづき」並の“やや弱”と判定される。穂いもち圃場抵抗性は、「ほしのゆめ」よりわずかに強く、「おぼろづき」よりわずかに弱い“やや弱~中”である。 玄米収量は「おぼろづき」「ほしのゆめ」より多収である。 |
| 品質および食味特性 |
| 青米の発生は「おぼろづき」「ほしのゆめ」並である。茶氷・腹白・心白等の発生は「おぼろづき」「ほしのゆめ」とほぼ同等である。玄米白度は「おぼろづき」並で「ほしのゆめ」より高い。また、玄米透明度は「おぼろづき」より高く「ほしのゆめ」並である。玄米品質は「おぼろづき」並で「ほしのゆめ」にやや劣る。検査等級は「おぼろづき」「ほしのゆめ」並である。
炊飯米の食味は「ほしのゆめ」に明らかに優り、「おぼろづき」並かやや優り良好である。実需による食味評価は「おぼろづき」並である。食味関連成分のアミロース含有率は「おぼろづき」より2~3%程度高く「ほしのゆめ」より5~6%程度低い。また、登熟温度によるその変動は「ほしのゆめ」よりは大きく「おぼろづき」並である。白米の蛋白質含量率は「おぼろづき」より低く、「ほしのゆめ」並である。 |
| 優良品種に採用しようとする理由(北海道) |
| 近年、北海道産粳米は、品種改良や栽培技術の改善による食味水準の向上および販売面の努力によって全国的な評価を高めている。しかし、ここ数年の北海道は登熟条件が良好であるが、今後の気象条件の変動たよっては食味の低下も懸念される。 一般に登熟温度の低い北野道では、アミロ-ス含有率が高くなりやすく、炊飯米の粘りが弱くなる傾向にある。そのため、高い食味水準を確保するためにはアミロース含有率が適度に低い米が必要とされてきた。「おぼろづき」はアミロース含有率が適度に低く食味が優れる銘柄米として高値で取引されるため、作付面積は年々増加傾向にあり、平成19年には約3,800ha作付けされている。しかし、同品種は玄米粒厚が薄いため収量性が低く、その需要に対して生産量が不足している。
一方、「ほしのゆめ」は北海道米のブランド形成と食味向上に貢献してきたが、食味水準は「おぼろづき」に比べると劣り、収量性も基幹品種の「きらら397」や「ななつぼし」に比べて劣るため近年栽培面積が減少している。 「上育453号」はアミロ一ス含有率が適度に低く、蛋白質含有率も「おぼろづき」に比べやや低いために、その食味は、「ほしのゆめ」に明らかに優り、「おぼろづき」並かやや優る。実需者からは「コシヒカリ」と比較しても遜色のない評価を得ている。また、「おぼろづき」、「ほしのゆめ」に比べ収量性が高い。耐冷性は対照品種に比べてやや劣るが、粒厚・粒重に優るため、冷害時も稔実粒数の不足を補えると予想され、対照品種並の収量を確保できると考えられる。 以上のことから、「上育453号」を「おぼろづき」、「ほしのゆめ」の一部に置き換えて作付けすることにより、極良食味米の安定供給と北海道米の食味向上に寄与できる。 |
| 配付しうる種子量 |
| 育種家種子格 1kg(平成19年上川農試産、系統育成)
原原種格 70kg(平成19年中央農試遺伝資源部産、予備増殖) 原種格 917kg(平成19年中央農試岩見沢試験地産、新優良品種促進事業) |
| 適地および優良品種採用予定県 |
| 1.1)適地 上川(名寄市風連町以南)、留萌.(中南部)、空知、石狩、後志、月胆、日高、渡島および槍山各支庁管内
2)対照品種 「おぼろづき」・「ほしのゆめ」の一部 2.採用予定県 北海道 3.普及見込み面積 10,000ha |
| 栽培上の注意 |
| 1.耐冷也が対照品種に比べやや劣るため、前歴期間および冷害危険期にかけて深水管理を徹底する。
2.耐倒伏性がやや劣るため「北海道施肥標準」を遵守し、多肥栽培は厳に慎む。 3.いもち病抵抗性が不十分であるため、発生予察に留意し、適切な防除に努める。 |