普及見込地帯および面積(和歌山県) 
 関東74号の普及地帯は添付ファイル(ファイル名:関東74号 普及地帯)のようで、平坦部から中山間地にかけ普及し、とくに近年稲の早生化に伴って作付の増加している農林29号、その他の雑品種を対象とし、さらに日本晴の収量性を補って、約3,000haの普及を見込んでいる。


普及地帯(静岡県)
 県下全域であるが、重点地域は中西遠地帯の早生早植地帯


来歴
 関東74号は昭和29年、関東東山農業試験場(現農事試験場)において「農林23号」を母とし、「農林22号」を父として人工交配を行い、F6まで集団栽培を行い、F7以後系統栽培を行い選抜固定を図ってきたもので、昭和39年度より「関東74号」の系統名を付し、関係都県およびその他の県に配付し、以来地方適否を確かめてきたもので、昭和42年度で雑種第13代である。 


形態的特性
 稈長は農林29号よりやや短く穂長、穂数同程度の中間型である。葉長、葉巾、葉色は普通で、葉の直立性も普通である。止葉はやや立ち、熟色はややよい。芒はなく、ふ先色は白、脱粒性は難である。粒大は中位、品質はきわめてよく、腹白なく、光沢があり溝の深さも浅く、乳白米の発生も少い。食味は、粘りがあり、舌ざわり、甘味も概して良好で、農林29号、ヤマビコにまさり、ヤエホ程度とされる。また搗精歩留も高い。


生態的特性
 出穂成熟農林29号よりやや早くクサブエと等しく、関東では中晩生に属する。
 倒伏抵抗性は農林29号より強く、クサブエ程度で中位である。いもち病耐病性は葉、頚いもち病共に総じて農林29号より強く、農林22号より弱く、中強程度と判定される。白葉枯病耐病性は弱くヤマビコないしこれに劣る。ごま葉枯病にも弱い。カラバエ耐虫性は強い。秋落抵抗性はかなり強く、クサブエに近い。
 収量は農林29号より高く、東海・近畿において、その地方の晩生種ナギホ、新山吹、東山38号などと同等の収量をあげており、稲の早生化に伴う置換品種として適する。


和歌山県において奨励品種に採用する理由
 近年品種の早生化にともない、本県の基幹品種である「ナギホ」はほぼ最終熟期となりつつあり、更に早熟多収の品種が望まれる。
 現在、中生級の主要品種は、「サチワタリ」「農林22号」であるが、これらはいずれも長稈、穂重型で倒伏しやすい欠点をもっている。
 関東74号は中稈、中間型で耐倒伏性は充分とはいえないが、「サチワタリ」「農林22号」にくらべてはるかに強い。
 良質、多収で現地試験の結果、地域適応性も高く、イモチ病、シラハガレ病の常発地および強度の秋落地を除き、平坦から中山間の肥沃地~中庸地に広く好適すると考えられる。


静岡県において奨励品種に採用する理由
 本県稲作の安定良質多収化としては稲の早期化(出穂を8月中旬にし、登熟期間多日照にする)にある。このため県としても稲の早期化(早生早植栽培)を強力にすすめているが、田植期が早まると共に、品種も早生が従来は15%程度であったのが最近は50%近くに急激に増加し、早生の優良品種への要望が強い。
 本県平坦部早生品種として、農林29号、ヤエホ、金南風の3品種があり、金南風級のものとして昭和39年クサナギを採用したが、農林29号級のものが数年強く要望されている。
 農林29号はいもち病に弱く、倒伏も多く品質も不充分で栽培が難しく、最近の機械化や集団栽培でも難点が多く、しかもこれからの栽培ではコンバインの稼働日数を延長させる意味からもこの熟期の優良品種の導入が切望されている。
 関東74号は農林29号より品質やいもち病耐病性が明らかにすぐれ、また耐倒伏性もやや強くなっているので、これを奨励品種に採用し、早生稲作の安定と中晩生の早生化をねらって県下一円に普及したい。


配付しうる種子量
 育成地  23kg


適地
 関東以西の平坦部、地力中ないしやや肥沃のところで、病害の発生の少いところに適し、これより晩生の品種と同等の収量をあげることから、従来より稲の生育期間を短くし、早生化を図りたい場合に適する。いもち病耐病性が特に強くないから、関東以西の中山間のいもち病常発地帯には適正を欠く。また白葉枯病、ごま病の激発地にも適正を欠く。


栽培上の注意
 倒伏抵抗性充分でなく極端な多肥栽培や直播栽培には適さなく、稲を倒伏させないような栽培法をとること。いもち病はじめ病虫害の防除を充分行うこと。


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