特記すべき特徴
 「関東166号」は、出穂・成熟期はほぼ日本晴並の中生の晩である。「コシヒカリ」並に良食味で、「日本晴」より多収で穂いもち抵抗性が強い。また、縞葉枯病抵抗性を持っている。


命名登録理由(奨励品種に採用しようとする理由)
 大分県:「日本晴」熟期の早生品種として「クジュウ」、「黄金晴」、「農林22号」などが作付けされているが、食味が不十分なため、早生地帯に極早生の「ひとめぼれ」、中生の「ヒノヒカリ」などが作付けされ、品質・収量などの面から生産対策上の問題が生じている。このため、これらの品種に替わる早生、良食味の多収・安定品種が求められている。
 愛媛県:早生品種として、安定・多収の「日本晴」が奨励されているが、食味が十分ではなく、極早生の「あきたこまち」、「コシヒカリ」などに押されて作付け面積が減少した。このため、早生地帯における産米対策の面から問題が大きく、「日本晴」に替わる良食味、多収・安定品種が求められている。
 「関東166号」は、出穂期は「日本晴」並かやや晩い、中生の晩に属する。成熟期の稈長、穂長、穂数などは「日本晴」にほぼ同じであるが、「日本晴」より多収で、外観品質は「日本晴」並に良質で、「コシヒカリ」並に良食味である。穂いもちには良食味品種としては明らかに強い。
 以上の特性から、大分県では「クジュウ」、「黄金晴」、「農林22号」、愛媛県では「日本晴」に替わる早生の多収・良食味品種として奨励品種に採用される予定である。


来歴
 縞葉枯病抵抗性をもつ良食味品種を育成することを目標として、1986年に農業研究センターにおいて「関東141号」を母とし、「コシヒカリ」を父として、人工交配を行った。翌年F1を圃場栽培し、F2世代で個体選抜を行い、以後系統育種法により選抜・固定をはかってきた。1990年より「つ系163」の系統番号で生産力検定試験、特性検定試験、系統適応性検定試験に供試し、その成績に見通しを得たので1992年より「関東166号」の地方系統名を付し、関係府県に配付してきた。
 1995年で雑種第9代である。


形態的特性
 移植時の苗丈・葉色は「日本晴」並の中・中である。稈長はほぼ「日本晴」並のやや短稈であり、大分県の「クジュウ」、「農林22号」より短く、「黄金晴」と同じかやや短い。穂長もほぼ「日本晴」並で中穂である。穂数もほぼ「日本晴」並に多く、草型は「日本晴」と同じ中間型に属する。登熟期の止葉はやや立ち、草姿は良好である。粒着密度は「日本晴」並の中であり、芒は短芒を少程度発生し、ふ先色は黄白、脱粒性は難である。


生態的特性
 出穂期、成熟期は、「日本晴」並かわずかに晩い中生の晩に属し、大分県では「クジュウ」と同じ早生に属する、粳種である。耐倒伏性は「日本晴」並にやや強である。収量性は、早植では「日本晴」よりやや低いが、普通植では「日本晴」より明らかに高い。
 いもち病の真性抵抗性遺伝子型はPi-aと推定され、圃場抵抗性は葉いもちは「日本晴」より弱い中、穂いもちは強に属し、良食味品種としてはこれまでになく強い。縞葉枯病抵抗性を持ち、白葉枯病抵抗性は「日本晴」より弱い中である。穂発芽性は「日本晴」並の中とみられる。


品質及び食味特性
 粒形、粒大は中である。粒厚が「日本晴」より0.1mm程度厚く、千粒重は「日本晴」並かやや重い。腹白、乳白は比較的少なく、外観品質は「日本晴」並の中上である。炊飯米の光沢が良く、食味は「日本晴」、大分県の「クジュウ」、「黄金晴」、「農林22号」、愛媛県の「日本晴」に明らかに優り、「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、「ヒノヒカリ」などの極良食味品種に匹敵する。精米の蛋白含量、アミロース含量は「日本晴」より低い。


採用県において奨励品種に採用する理由
 大分県の水田は山間地帯及び準平坦地の占める割合が高いため、早生種の重要性が極めて高い。昭和40年代から50年代にかけて安定・多収を目標に短稈で良質の品種が普及し、早生の「クジュウ」は50%の作付けを示した。
 近年、消費者の良食味米指向が高まり、大分県では「コシヒカリ」に匹敵する良食味品種として、極早生種では「コシヒカリ」、「ひとめぼれ」、中生種では「ヒノヒカリ」、晩生種では「ユメヒカリ」を採用して県産米の食味向上を図ってきた。しかし、早生種に良食味品種が無いため、早生地帯には極早生の「ひとめぼれ」の普及を図っているが、「ひとめぼれ」は耐倒伏性が十分でないため、一部で中生の「ヒノヒカリ」の無理な作付けがみられ問題になっている。
 「関東166号」は「クジュウ」級の早生で、「コシヒカリ」に匹敵する良食味系統であり、耐倒伏性も「クジュウ」に優り、穂いもちにも強く、多収で栽培特性が優れる。
 よって、「関東166号」を奨励品種に採用し、「クジュウ」及び「黄金晴」の一部と不適地に栽培されている「ヒノヒカリ」に替えて普及することにより、極早生種から晩生種までの良食味品種の適正作付けを図りたい。
 愛媛県における主要品種の熟期別構成は極早生35.5%、早生14.5%、中生25.7%、晩生20.4%となっている。早生の「日本晴」は品質がよく安定しているが、食味が不十分であり、良食味品種の増加とともに減少している。「農林22号」は食味は極良であるが、長稈で倒伏し易いため面積が減ってしまった。また、本県の基幹品種である「松山三井」は、寿司米、酒米に適するが熟期が遅いため、時として品質・収量が問題となっている。
 近年、消費者の良食味米指向が高まり、良食味品種として極早生種の「あきたこまち」を奨励した。しかし、早生種に「コシヒカリ」並の良食味品種が無いため、「あきたこまち」、「コシヒカリ」が栽培不適地である早生地帯においても増加し問題となっている。
 「関東166号」は「日本晴」級の早生で、品質は「日本晴」並に良く多収で、「コシヒカリ」に匹敵する良食味系統である。穂いもちにも強く、耐倒伏性も「日本晴」並で「農林22号」に優り、栽培特性が優れる。
 そこで、「関東166号」を奨励品種に採用し、「日本晴」と「農林22号」と平坦部で普通期栽培されている「あきたこまち」、「コシヒカリ」及び品質不良で問題の多い東予地域の「松山三井」の一部に替えて普及することにより、熟期別構成を改善し、良食味品種の作付け拡大、早生地帯の安定化と食味向上を図りたい。


配付しうる種子量
一般採種 60kg
系統採


栽培適地
「関東166号」は関東以西の温暖地に適する。


栽培上の注意
1)耐倒伏性は日本晴並であるが、葉いもち抵抗性がやや弱いので、多肥栽培は極力控える。
2)粒厚が厚いため品質向上のために粒選にはやや大きめのふるいを用いる。
3)穂発芽性は中なので適期メリりに努める。


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