特記すべき特徴
「関東168号」は、出穂・成熟期が「コシヒカリ」と同じ、「低アミロース」系統である。加工米飯、おにぎり、炊込み米飯、米菓などに適応性が高く、また、炊飯米は「コシヒカリ」より粘りが強く良食味である。


命名登録理由(奨励品種に採用しようとする理由)
 各種食品に要望される品質や消費者ニーズが多様化する中で、各種米飯や米菓加工に適する品種、「コシヒカリ」よりも粘りが強い良食味米が求められている。
 「関東168号」は、「コシヒカリ」にMNU突然変異処理を行って育成された低アミロース系統である。アミロース含量は、9~12%で玄米はやや不透明となることが多いが、良質である。加工米飯、おにぎり、炊込み米飯、米菓などに適応性が高い。炊飯米としては「コシヒカリ」より粘りが強く、良食味である。栽培特性は「コシヒカリ」とほぼ同一である。
 以上の特性から、「コシヒカリ」熟期の「低アミロース」品種として、その普及・活用が期待できる。


普及見込み地帯
 南東北以南の「コシヒカリ」栽培地帯に適応する。


来歴
 胚及びアミロース含量等の胚乳突然変異を誘発するため、1985年に農業研究センター稲育種法研究室において、「コシヒカリ」の5個体に受精卵MNU処理を行い、650粒の種子を得た。1986年にM1世代を500個体養成した。1987年に稲育種研究室でM2世代を圃場栽培し、各個体から1穂ずつ採種して、それぞれの穂から5粒づつ取り玄米の白濁を調査して選抜を行い、半糯突然変異個体2個体を得た。1988年からはこれらに各々「88M16」、「88M18」の系統番号を付し系統栽培を行い、1990年から生産力検定試験に供試した。また1991年より「88M16」を「鴻271」の系統番号で生産力検定試験、特性検定試験に供試し、1992年より「関東168号」と命名し、関係府県に配布し、地域適応性を検討してきた。
1995年はM10世代である。


形態的特性
 形態的特性は「コシヒカリ」と同じである。移植時の苗丈は長で、葉色は中である。稈長は長稈で穂長は中程度、穂数は中程度で、草型は中間型である。止葉の角度は中程度で、粒着密度は中密であり、 先色は黄白、稀に短芒を有する。


生態的特性
 生態的特性についても「コシヒカリ」と同じである。出穂期、成熟期とも、育成地では早生の晩に属する粳種(半糯)である。耐倒伏性は弱である。いもち病の真性抵抗性遺伝子型は+型と推定され、圃場抵抗性は葉いもち、穂いもちともに弱である。白葉枯病抵抗性は中である。穂発芽性は難である。脱粒性は難である。


品質及び食味特性
 収量性は「コシヒカリ」よりやや低いとみられる。外観品質は「コシヒカリ」並の中位であるが、玄米は通常不透明となる。粒形、粒大は「コシヒカリ」並の中である。
 アミロース含量は「コシヒカリ」よりも45%程低く、登熟期の温度条件により変動し、9~12%程度である。加工米飯としては、冷えても硬くならない特性を持つため、冷蔵米飯や弁当、おにぎりなどの携帯食に向く。また、粘りが強いので、炊込み飯等調理によって粘りが落ちやすい調理米、胚芽飯などに適する。米菓については、蛋白含量、アミロース含量が低く澱粉の膨化性があり適性が高いとみられる。
 また、一般炊飯米の食味の総合評価は、日本晴より明らかに優れており、適加水量は異なるが、「コシヒカリ」より軟らかく、粘りが強く、「コシヒカリ」に優る。


採用県において奨励品種に採用する理由
 各種食品に要望される品質や消費者ニーズ力高度化・多様化する中で、一般米に対しても各種米飯や米菓加工に適する品種や、「コシヒカリ」よりも粘りが強い良食味米が求められている。
 「関東168号」は、「コシヒカリ」にMNU突然変異処理を行って育成された低アミロース系統である。低アミロース米は、「新形質米」プロジェクト研究においてその利用性が高く評価され、将来の米消費の高品質化・多様化に対応でき、各種「新形質米」の中で最も多くの需要が期待されている。
 「関東168号」のアミロース含量は「コシヒカリ」、「日本晴」などの一般粳品種よりも低く、9~12%であり玄米はやや半透明となることが多いが、良質である。冷えても硬くならない特性をもつため、加工米飯、おにぎり、炊込み米飯、米菓などの適応性力高い。また炊飯米としても「コシヒカリ」より粘りが強い良食味である。出穂期、稈長、いもち耐病性、耐冷性、穂発芽性などの圃場における諸特性は「コシヒカリ」とほぼ同じである。
 以上の特性から「関東168号」を、東北以南の「コシヒカリ」栽培地帯における、「低アミロース品種」として普及・活用を図る。


配付しうる種子量
採種種子 30 kg
系統     6 kg


栽培適地
南東北以南のコシヒカリ栽培地帯に適する。


栽培上の注意
1,耐倒伏性が「コシヒカリ」並に弱いため、施肥管理は「コシヒカリ」並とし、多肥栽培は避ける。
2,成熟後期の倒伏などにより、品質を悪化させないように適期刈りに努める。


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