| 普及見込み地帯及び面積(鹿児島県) |
| 肝属郡、囎唹郡の南部、鹿児島郡の一部、指宿郡、川辺郡の一部、日置郡、薩摩郡、出水郡、姶良郡の二期作栽培地帯に普及する。
普及見込面積 2,000ha |
| 来歴 |
| 西海75号は昭和30年、農林省九州農業試験場において「ナカセンゴク」を母とし、「農林22号」を父として人工交配を行ない、育種年限短縮の目的で、同年冬から翌春にかけて同場指宿試験地でF1を養成し、F2以降は再び九州農業試験場(筑後市)においてF8まで毎年晩期栽培により、F9以後は普通期栽培により、系統育種法を適用して育成されたものである。
系統適応性の検定については、昭和35年度、特性検定については34年度より、それぞれ検定が行なわれたが、その成績良好であり、昭和36年F7より「西海75号」の系統名で関係県に配付して奨励品種決定調査に供されたもので、昭和41年度F12にあたる。 昭和41年度より鹿児島県において二期作の第二期用として奨励品種に採用の予定である。 |
| 形態的特性 |
| 晩期栽培ではナカセンゴクよりも長稈、長穂で農林22号の草状に似た穂重型の粳種である。稈の太さは中位で、穂は稀に短い芒があり、ふ先は褐色である。粒着密度は中位で、脱粒性は難である。玄米は中形中粒で、品質食味ともにかなり良好である。止葉はあまり直立しないが、熟色は良い。 |
| 生態的特性 |
| 出穂・成熟期ともにナカセンゴク程度であり、九州北半では中生の晩に属する。倒伏には晩期栽培では稈があまり伸びないのでかなり強いが、普通期栽培では長稈に過ぎるためやや弱い。葉イモチ病、穂首イモチ病、シラハガレ病、モンガレ病にはいずれもかなり強く、耐病性はよく調和がとれている。生産力は晩期栽培では高く、かつ安定している。 |
| 概評 |
| △昭37;成熟期はアキコガネより1~3日早く、短稈で穂数がやや多い。首イモチ、シラハガレ病の発生も比較的少なく、収量は加治木、串良町ではアキコガネと同程度、入来町では8%多収であった。初年目であるので再検討したい。
◎昭38;アキコガネより2~4日位熟期の早い系統で、やや長稈である。耐病性もかなりあり、各地とも病害の発生が少ない。収量はアキコガネに対して、串良107% 加治木111% 入来117%で多収である。 ◎昭39;アキコガネより2日位熟期の早い系統で、やや長稈、収量は本年はアキコガネに劣るが、過去3ヵ年の結果はアキコガネよりやや多い。病害も少なく、品質もよい。 ◎昭40;品質はアキコガネにまさる。病害の発生も少なく栽培しやすい。二期作第二期用として有望。 |
| 鹿児島県において採用の理由 |
| 鹿児島県における水稲二期作第二期栽培は約3,200haの作付面積があり、アキコガネを水稲二期作第二期栽培用として、昭和34年に奨励品種に採用してきたが、品質・食味の点で伸びなやみの状況にあり、その他の品種(農林18号、瑞豊、ハマユウ)が栽培されている。
このため昭和40年は登熟期間が低温であり、田植期が遅れ、瑞豊を栽培した農家は収穫皆無もみられ、これの対策としては熟期の早い多収良質品種が要望されている。 西海75号は昭和36年から本場で試験し、昭和37年から現地3ヶ所で試験した結果、熟期はアキコガネ程度かやや早く、アキコガネより短稈で穂数が多い。またイモチ病の発生もこの系統は少なく、草状・熟色も良好である。収量は本場ではアキコガネと同程度かあるいはやや劣るが、二期作が実際に行なわれている現地の試験では多収であり、水稲二期作第二期用として奨励品種に採用し、アキコガネその他の品種とおきかえたい |
| 配付しうる種子量 |
| 系統採種 4㎏
系統栽培混合採種 30㎏ 計 34㎏ (採用県においては、串良町の現地で、約1haの採種田からの種子を確保中) |
| 適地および奨励品種採用予定県 |
| イ.昭和36年以降5ヵ年にわたって関係県に配付して地方的適否が検討されたが、その成績は上記のとおりである。
本系統は鹿児島を主体とする南九州の二期作地帯の第二期用に適応し、筑後平野ならびに八代平野のイ草跡の晩期栽培用としても好適する。 本系統の対象となる品種はアキコガネ、農林18号、瑞豊、ナカセンゴク、ヤマトミ、などである。 ロ.採用予定県 鹿児島県 約2,000ha |
| 栽培上の注意 |
| イ.南九州における本系統の田植の適期は7月末までであり、遅くとも8月5日までに終るようにすべきである。苗代日数は30日~35日が適当である。
ロ. 安全性はかなり整っているので、栽培は比較的に容易である。穂重型であるため、倒伏防止に注意し、多肥密植になりすぎないようにするべきである。 ハ.低温下の登熟能力はかなり高いが、南九州における出穂期の安全限界は9月25日頃として耕種条件を決定するのが安全である。 |