| 特記すべき特徴 |
| 中晩生の良質良食味系統 |
| 命名登録理由(奨励品種に採用しようとする理由) |
| 香川県では、「コガネマサリ」が良質・多収のため計画面積以上に作付され、共同乾燥施設の処理能力を越え、刈り遅れによる品質低下をきたした。そのため早生または晩生への作付誘導が図られが、晩生の「コトミノリ」は品質が劣る上に食味が中位であるため、計画通り普及していない。
また京阪神向けの野菜生産も盛んで、定植後に収穫可能な晩生種が必要とされている。そのため「コトミノリ」に替わる晩生の良質・良食味品種が望まれている。「西海192号」は「コトミノリ」並の晩生で品質・食味が明らかに良いので奨励品種に採用したい。 熊本県では、稲作改善対策の基本的推進方向として適地適品種を前提に、稲地帯区分別品種の作付計画が積極的に進められており、品質向上に大きく貢献している。現在平坦地帯の主力品種である「ヒゴノハナ」は栽培し易い上、外観品質が優れているため作付が広がったが、実需者からはさらに食味の向上が要望されている。そのため、平坦地帯に適した中生の晩の熟期で、強稈良質・良食味品種の導入が望まれている。「西海192号」は「ヒゴノハナ」並の中晩生で、食味が「ヒゴノハナ」に優り「ヒノヒカリ」に近い良食味であるので奨励品種に採用したい。 |
| 普及見込み地帯 |
| 香川県
香川県平坦部の「コトミノリ」の全部と「コガネマサリ」の一部の計1,500haを対象に奨励品種に採用し、本県の産米改良を図りたい。 熊本県 熊本県平坦地の「シンレイ」の全部と「ヒゴノハナ」の一部の計5000haを対象に奨励品種に採用し、本県産米の評価向上を図る。 |
| 来歴 |
| 西海192号は,昭和58年九州農業試験場において,良食味中晩生品種の育成を目標に,短稈中晩生の((ミズホ/コシヒカリ)F2//コシヒカリ)F2個体を母とし,やはり中晩生で良質・いもち強の西海170号を父として人工交配を行った組合せに由来する。昭和59年春に温室でF1を養成し, F2は夏に圃場で直播密播栽培した。同年冬にF3の養成を熱研センター沖縄支所に依頼した。昭和60年F4で個体選抜を行い以後系統育種法によって選抜固定を図った。昭和62年からは九系668の名で特性検定試験・系統適応性検定試験に供試し成績優秀であったので,平成元年,西海192号と命名し地方適応性を検討してきたもので平成5年F12になる。 |
| 形態的特性 |
| 稈長はシンレイより7~8長くレイホウより4cm短い。コトミノリより12 cm短くヒゴノハナよりも2 cm程度短い。穂長はシンレイ・レイホウよりおよそ2 cm長く、コトミノリ・ヒゴノハナよりも長い。穂数はこれらの品種よりやや少ないやや短稈中間型の草型である。止葉はやや立ち稀に短芒を有する。粒着密度は中~やや疎の中位で、脱粒性はやや易である。粒形は中位で粒大は中晩生種としては小粒である。 |
| 生態的特性 |
| 出穂期はシンレイ・ヒゴノハナより2~3日早く、コトミノリとほぼ同じで、成熟期はこれらの品種と同程度かやや早い暖地では中生の晩に属する粳種である。
耐倒伏性はシンレイ・ヒゴノハナよりやや弱く、レイホウ・コトミノリよりやや強いやや強である。生産力は穂数がやや確保しにくく小粒であるため、シンレイ・レイホウにやや劣る。熟色はよく秋まさり型の生育を示す。いもちには葉・穂ともシンレイよりやや弱いやや弱である。白葉枯病にはシンレイよりやや強い中である。縞葉枯病抵抗性は持たない。 |
| 品質及び食味特性 |
| 千粒重はシンレイより1g程度小さく腹白は同程度で心白は少なく、外観品質はヒゴノハナには劣るがコトミノリより明らかに良いシンレイ程度の良質である。食味はコシヒカリにはやや劣るがシンレイ・レイホウ・ヒゴノハナ・コトミノリよりよく、中晩生では最も良い上下にランクされる良食味である。 |
| 採用県において奨励品種に採用する理由 |
| 香川県における現在の主な奨励品種は、極早生に「コシヒカリ」(26%)、早生には「黄金晴」および酒造用の「オオセト」(併せて18%)、中生は「コガネマサリ」(51%)、晩生は「コトミノリ」(2%)となっている。
このうち「コガネマサリ」は良質・多収のため昭和60年には全作付け面積の70%以上を占めるにった。その結果、共同乾燥施設の処理能力を越え、刈り遅れによる品質低下をきたしたため、中生の「コガネマサリ」の早生または晩生への作付誘導が図られた。しかし、良食味の「コシヒカリ」は順調に作付が拡大したが、晩生の「コトミノリ」は品質が劣る上に食味が中位であるため、近年の良質・良食味指向に対応できなくなり、計画通り普及できなかった。 また香川県では京阪神向けの野菜生産も盛んで、作付体系に関連する労力配分上、野菜の播種・定植後に収穫可能な晩生種が必要である。 そのため、晩生で良質・良食味品種の導入が要望された。 「西海192号」は「コトミノリ」と同熟期の晩生で、良質であり、収量性は「コトミノリ」に比べやや低いが安定している。食味は「コトミノリ」・「コガネマサリ」より明らかに良く、「コシヒカリ」に近い良食味である。 以上のことから、「西海192号」を「コトミノリ」の全部と「コガネマサリ」の一部を対象として導入し本県の産米改良を図りたい。 熊本県は、稲作改善対策の基本的推進方向として適地適品種を前提に、稲地帯区分別品種の作付計画が積極的に進められており、品質向上に大きく貢献している。 現在、平坦地の主要品種として、中晩生で良質の「ヒゴノハナ」と晩生で極良食味の「ユメヒカリ」であり、それに中晩生・短強稈で栽培特性の優れた「シンレイ」が作付されている。 「シンレイ」は、昭和56年に奨励品種に採用し、短強稈で栽培し易いことから平成元年には10,000ha以上栽培されたが、同年に短強稈で良質の「ヒゴノハナ」の普及が始まると作付は急激に減少してきた。「ビゴノハナ」は栽培し易い上、外観品質が優れているため平成4年には11,500haに広がったが、実需者からはさらに食味の向上が要望されている。 そのため、平坦地帯に適した中生の晩の熟期で、良質・良食味品種の導入が望まれている。 「西海192号」は、「シンレイ」・「ヒゴノハナ」と同熟期の中生の晩で、収量性はやや低く、耐倒伏性が「シンレイ」に比べるとやや弱いが平坦地帯では充分であり、「シンレイ」より良質で、食味は明らかに「シンレイ」・「ヒゴノハナ」に優り、「ヒノヒカリ」に近い良食味である。 以上のことから、平坦地の「シンレイ」の全部と「ヒゴノハナ」の一部を対象に、良食味系統の「西海192号」を導入し、本県産米の評価向上を図る。 |
| 配付しうる種子量 |
| 系統採種 21kg
採 |
| 栽培適地 |
| 暖地,温暖地の平坦地に適する. |
| 栽培上の注意 |
| ①成熟期に達しても,葉の退色が少ないので,刈遅れしないよう適期刈り取りに努める.
②一穂粒数が少なく,穂数が立ちにくいので初期生育の確保に努める. ③いもち病抵抗性は葉いもち,穂いもちにやや弱であるので適期防除に留意する. ④縞葉枯病には罹病性であるので,防除に留意する. |