西海232号の特記すべき特徴
 「西海232号」は「日本晴」熟期の粳種で、食味は「コシヒカリ」並の極良食味である。外観品質、収量も安定している。


命名登録理由(奨励品種に採用しようとする理由)
島根県において奨励品種に採用する理由
島根県では、近年、極早生「コシヒカリ」への極端な作付け集中が進む中で、気象温暖化に伴う品質低下等が大きな問題となっている。温暖化に対応し、集中緩和を図るために平坦部では早生への一部転換が望まれるが、早生の奨励品種「祭り晴」は市場評価の格差等があり、拡大が困難な状況にある。このため、品質の安定した良食味早生品種の早期導入が求められている。
 このような状況を踏まえて、島根県農業試験場及び中山間地域研究センターにおいて、島根県に適する早生の良食味、良質系統を選定してきた。その結果、「西海232号」は1:早生で食味が優れていること、2:品質、収量が同等~やや優ることが明らかになってきた。
  以上の理由から、島根県では「西海232号」を奨励品種として採用し、「祭り晴」と「コシヒカリ」の一部に代えて、県内全域の平坦部を中心に普及を図る。


普及見込み地帯
 添付ファイル(ファイル名:西海232号 普及見込み地帯)参照。


来歴
 「西海232号」は1991年8月九州農業試験場において、早生、極良食味、縞葉枯病抵抗性品種の育成を目標に極早生、極良食味の「キヌヒカリ」を母とし、縞葉枯病抵抗性、良食味の「愛知92号」(後の「祭り晴」)を父として人工交配を行った組合せから育成された。1992年2月にF1を温室内で養成し、同年9月にF2を温室で世代促進、1993年1月にF3の世代促進を国際農研沖縄支所世代促進研究室に依頼した。同年F4で個体選抜を行い、以後系統育種法により固定を図ってきた。
 1995年F6より「は系626」の名で生産力検定試験、特性検定試験、系統適応性検定試験に供試し、成績優秀だったので1997年F8より「西海232号」の地方名を付し、関係県に配付して地方適応性を検討してきた。2005年の世代は雑種第16代である


形態的特性
・稈長は“中”で「日本晴」より4~5cm長い。
・穂長は“やや短”で「日本晴」よりやや短い。
・穂数は“やや少”で「日本晴」よりやや少ない。
・草型は“中間型”である。
・止葉は“やや立”で「日本晴」よりも直立し、草姿・熟色とも良好である。
・ふ色およびふ先色は“黄白”で、稀に短芒を有する。
・粒着密度は“やや密”である。
・脱粒性は “難”である。
・玄米の粒形は“中”、粒大は“中”でともに「日本晴」並である。


生態的特性
・出穂期は“早生の晩”で「日本晴」より1~2日程度遅い。成熟期は“早生の晩”で「日本晴」並か1日程度遅い。
・耐倒伏性は“中”で、倒伏は「日本晴」よりやや少ない。
・収量は「日本晴」より4ポイント程度多い。
・いもち病抵抗性遺伝子はPia,Piiを持つと推定され、葉いもち圃場抵抗性、穂いもち圃場抵抗性ともに「日本晴」並の“中”である。
・白葉枯病抵抗性は「日本晴」よりやや弱い“やや弱”である。
・縞葉枯病には「罹病性」である。
・穂発芽性は「日本晴」並の“やや易”である。


品質、食味特性
・玄米の見かけの品質は「日本晴」と同程度の“中中”である。
・白米のタンパク質含有率は「日本晴」より低く、「ヒノヒカリ」よりやや低い。
・白米のアミロース含有率は「日本晴」より低く「ヒノヒカリ」並である。
・食味は“上中”で「コシヒカリ」「ヒノヒカリ」並である。


島根県において奨励品種に採用する理由
島根県では、近年、極早生「コシヒカリ」への極端な作付け集中が進む中で、気象温暖化に伴う品質低下等が大きな問題となっている。温暖化に対応し、集中緩和を図るために平坦部では早生への一部転換が望まれるが、早生の奨励品種「祭り晴」は市場評価の格差等があり、拡大が困難な状況にある。このため、品質の安定した良食味早生品種の早期導入が求められている。
 このような状況を踏まえて、島根県農業試験場及び中山間地域研究センターにおいて、島根県に適する早生の良食味、良質系統を選定してきた。その結果、「西海232号」は①早生で食味が優れていること、②品質、収量が同等~やや優ることが明らかになってきた。
  以上の理由から、島根県では「西海232号」を奨励品種として採用し、「祭り晴」と「コシヒカリ」の一部に代えて、県内全域の平坦部を中心に普及を図る。


島根県における普及見込み地帯及び面積
ア.普及見込み地帯
  添付ファイル(ファイル名:西海232号 普及見込み地帯)参照。
イ.普及見込み面積
 県内平坦部を中心に作付けされている早生の「祭り晴」、極早生の「コシヒカリ」の一部に代えて普及を図る。当面、2006年は900haの普及を見込む。


島根県における栽培上の留意点
1)耐倒伏性は「祭り晴」よりやや弱いので、多肥栽培は避ける。
2)いもち病抵抗性は強くないので、防除を徹底する。
3)白葉枯病抵抗性はやや弱いので、常発地での栽培は避ける。
4)穂発芽性は「祭り晴」よりやや劣るので、適期刈取に留意する。


配付しうる種子量
系統採種  5kg
一般採種 50kg
合   計 53kg


適地および奨励品種採用予定県
1)適地:温暖地の平坦地および暖地の全域
2)奨励品種採用予定県および普及見込み面積:島根県 900ha


栽培上の注意点
1)穂発芽性は“やや易”で耐倒伏性も強くないので、倒伏防止のため多肥栽培は避ける。
2)いもち病抵抗性は強くないので、適期防除を行う。
3)白葉枯病抵抗性は“やや弱”なので、常発地での栽培を避ける。
4)縞葉枯病に罹病性であるため、常発地帯での栽培は避ける。


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