来歴並びに育成経過
 農林省農事試験場鴻巣試験地において昭和16年に「近畿35号」(農林23号)を母とし、「近畿34号」(農林22号)を父として人工交配を行い、昭和19年にその雑種第3代の種子を島根県立農事試験場における農林省指定水稲新品種育成試験の供試材料として配付を受け、選抜固定を図り、昭和22年4月より農林省出雲農事改良実験所において引続き選抜固定を実施し、昭和23年「山陰47号」と命名し、各府県に配付し地方適否を確め試験を継続し、昭和26年4月より再び島根県農事試験場における農林省指定水稲新品種育成試験地において引継き試験を実施し検討中の系統である。
 昭和30年度に雑種第14代である。
 尚昭和30年度より島根県において奨励品種に採用される予定である。


特性概要
 出穂期、成熟期共に農林23号程度の中晩生粳種で、稈長は農林23号より僅かに長めであるが草状は極めて近似し穂数型で熟色良好、稲熱病耐病性農林23号程度で強に属し、生態的特性及び適応範囲も殆ど同様で多肥栽培において、多収性の品種である。特に稈蝿耐虫性が強い。
 脱粒性は難で粒着はやや疎、稀に短芒がある。玄米は中形の中大粒で品質は良好である。
 平坦部肥沃地の中晩生、山間部肥沃地の晩生として特に農林23号地帯に適し稈蝿の被害ある地域においては特に好適するものと思われる。


島根県において奨励品種に採用せんとする理由
1.農林23号は中晩生の穂数型品種で良質多収であると共に稲熱病、白葉枯病及び螟虫抵抗性強く、且つ倒伏やや難で晩植適応性も高いが稈蝿及び浮塵子の耐虫性が弱い。従って熟期的には本県山間部において栽培可能であり多収性であるにも拘らず現在は平坦部が主体で中山間部において僅かに栽培が見られる程度に過ぎない。この様に栽培が平坦部に限られている主因は稈蝿耐虫性が弱い点にあるので中山間部~山間部においてかかる安全性多収品種で稈蝿の耐虫性強い中晩生種が強く要望されている。
2.山陰47号は出穂期、成熟期、草状共に農林23号に極めて類似し玄米はやや大粒、良質である。収量は農林23号に比較して平坦部において大差なきも中山間部においては明らかに多収である。
更に晩植適応性はやや劣るが稲熱病、白葉枯病並びに倒伏抵抗性共に農林23号と同程度であり稈蝿耐虫性は極めて強に属し、中山間部一円及び山間部の晩生種(早植用)として極めて普及性が大きいと共に最近稈蝿の発生が平坦部においてもかなり見られる様になった点より平坦部一円においても農林23号に置換しうべき系統である。


 普及見込面積
  島根県内における置換対照となる品種の作付状況は次の如くである。
           昭和28年度栽培面積   山陰47号置換対照可能面積              
                    町歩                町歩
 農林23号             3,088               1,835
 高 嶺               8,630                780
 農林22号             6,928                155
 其の他(主としてN13・N6号)   1,300                530
  計                19,946               3,300




  以上の如く島根県内における栽培普及面積は3,300町歩でありこの他に静岡県及び福井県において準奨励品種として採用されその普及予定面積は静岡県において500町歩、福井県にて3500町歩で総計7300町歩が期待される。
  更に滋賀県、山梨県においては特に有望、京都、愛媛、大阪、岐阜の各県においてもやや有望視されている


配付し得べき種子量
2.5斗


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