| 来歴 |
| 農林省農事試験場東海支場で昭和20年「中京旭」を母、「水稲農林22号」を父として人工交配を行い、昭和23年その雑種第3代種子を農林省安城農事改良実験所に水稲育種試験供試材料として配付し、以後選抜固定を図り、昭和26年4月から農林省東海近畿農業試験場に引きついで選抜固定の操作をつづけると共に特性の検討を行った。昭和30年2月「東海7号」の系統名を付して各府県に配付を始め、以来地域的適否を併せ確かめて来たものである。昭和32年度、雑種第12代である。 |
| 形態的特性 |
| 本系統は農林29号よりやや長いが殆ど同長で、中間型、穂は長い。農林22号を短稈化した草状を示すが、穂数は同種より多い。粒着はやや疎で脱粒は難程度、稀に短芒が見られる。粳種であって、玄米は大粒。光沢良く極良質である。 |
| 生態的特性 |
| 当地方では農林29号より1~2日早い程度の早生であるが、山間部或は関東東山地方では却って同種より遅れて出穂する傾向がある。
稈はやや太く多少剛い方で倒伏には強いと判定される。イモチ病に強く特にホイモチの耐病性にすぐれる点が特徴である。ゴマハガレ病・シラハガレ病共に中程度の耐病性を示し、強くはない。又秋落地での適応性は低い。カラバエには強いが、螟虫被害の点は疑問で1化期の被害を報ずる試作地があった。 熟色鮮美であって、農林29号と同程度ないし以上の収量を収める。 |
| 普及見込地帯における成績 |
| (i)岐阜県
(a)普及見込地帯 美濃平坦乾田地帯から中山間部乾田肥沃地帯 (b)採用理由 出穂、成熟とも農林29号程度の早生で中間型、農林22号に比べ短稈多蘖である。長穂粒着やや疎で一穂籾数は少ないが概して稔実良好である。大粒で品質光沢は極めて良好である。ハイモチ病耐病性は農林22号程度、ホイモチは強の部に属し農林22号より強い。シラハガレ病にはかなり耐えるが、ゴマハガレ病には中の弱程度で殊に湿田、秋落田等では発病が多い。カラバエには強いがメイ虫には警戒の必要がある。 収量は農林29号と大差なく秋落田を除いて平坦部肥沃田向早生として極めて良好な特性を備え、裏作地帯の農林22号、東山38号におきかわり普及性大と考えられ中山間部へも秋落浅耕土地帯を除いて広い普及性が認められる。 (c)対照品種 農林22号、東山38号、農林29号、若葉、ほまれ錦 (d)普及見込面積 4,000町歩 |
| 普及見込地帯における成績 |
| (ii)山梨県
(a)対象品種普及地帯並びに普及見込面積 平坦部中生として比較的広い普及地帯が考えられ、対象品種並びに普及見込み面積は以下の通りで、県下全水田面積の略1/5に達する見込みである。 (b)採用理由 農林25号は従来平坦部用として広く栽培されているが、多収である反面ホクビイモチ病に弱く特に品質が劣悪で且つ食味も悪い欠点がある。東海7号は農林25号と同熟期でよくその欠点を補っている。即ちホクビイモチ病に強く品質は極めて良好である。 なお農林8号は現在もっとも栽培面積が多いが、晩稲にすぎ、秋早冷の場合稔実悪く減収するほか、稈蝿、イモチ病に弱く不安定であるので農林8号の栽培面積の中にも相当東海7号の方が有利の地帯がある。 |
| 普及見込地帯における成績 |
| (iii)長野県
(a)対象品種普及地帯並びに普及見込面積 対象品種 地 帯 水田面積 普及見込面積 農林22号、金南風、うこん錦 南信一毛作地 3000町 2000町 農林22号、若葉、金南風 南信一毛作地 2000町 計 5000町 2000町 (b)採用理由 下伊那郡及び上伊那郡西筑摩郡南部平坦地帯の晩生種として農林22号、金南風が栽培されているが農林22号は倒伏性に難点があり、金南風はシラハガレ病に極めて弱く又冷水、低温によって生育が遅れ適応地帯が局限される現状で、強稈、良質、多収の品種が望まれるが東海7号は強稈で多肥に耐え、耐病性強く良質で収量多く農林22号、金南風両品種の欠点を補い一毛作、れんげ二毛作肥沃地向の品種として好適するものと思われる。 |
| 配付できる種子量 |
| 系統採種 2升5合
系統栽培混合採種 2斗5升 普通採種 4斗5升 |
| 適地及び奨励品種採用予定県 |
| (1)適地
本系統は強稈、多収、良質、大粒で、しかもホイモチ病に強い特性を備えているため東海近畿地方を中心に隣接地方にわたって適地は極めて広範囲に分布するものと考えられるが、他面ゴマハガレ病、シラハガレ病、秋落には強くないため立地条件の複雑な平坦部ではさらに適応性の吟味が必要な地域もある。即ち、第一に東海近畿地方(中国地方)では地力中~やや肥沃乾田地耐(対照品種、農林29号、東山38号)、東山地方では標高400~500m以下の盆地又は谷間乾田~半湿田(対照品種、農林25号、農林22号)が代表的で、次いで中山間、イモチ病常発地帯や軽度秋落地帯(対照品種、農林22号、黄金錦、金南風)、又所によっては浅耕秋落地(多肥栽培)にも普及出来る場合がある。 教湿田、黒ボク、根くされを起こし易い地帯等には不向である。 (2)奨励品種採用予定県 岐阜県、山梨県、長野県 |
| 栽培上の注意 |
| 標高たかく登熟限界を超えるような極山間地とか、一方平坦部では強度の秋落地殊に老朽化水田、更には塩害地、シラハガレ病激発地等は避けた方が良い。強稈でホイモチ病に強く、稔実良好であるから、多肥栽培向と考えられるが極端な多肥、又は過度の晩期追肥はやはりさけるのがよい。 |