序
  「山形45号」は山形県立農業試験場庄内支場において,良質,良食味を育種目標に「庄内29号」を母とし,「秋田31号(あきたこまち)」を父として人工交配を行って選抜,育成した品種である。山形県奨励品種決定調査等において有望と認められ,1991年(平成3年)から山形県奨励品種となった。
  「山形45号」は「ササニシキ」より2~3日遅い中生の晩,短桿,中間型の良質,極良食味の品種で耐冷性を備えた梗種である。
  山形県の栽培適応地帯は山形県内一円の平坦地帯で,その普及面積は25,000ha(平成7年)と見込 まれる。


緒 言
 水稲新品種「山形45号」は1990年に育成が終わり1991年から山形県の平坦部地帯向け水稲奨励品種として普及に移されることになった。
 ここに本品種の来歴,育成経過および諸特性について報告する。
 山形県立農業試験場庄内支場の水稲の品種改良は「ササニシキ」が山形県の奨励品種になった1964年から開始され,同尾花沢試験地の育成と分担しながら,平坦部向け品種の育成を育種目標としてきた。以来,育成した奨励品種は「あさあけ」,「はなの舞」,「みちのくわせ」の3品種である。その間,山形県の主力銘柄品種として「ササニシキ」の作付が1970年からの3年間と1978年から現在まで首位を占めてきた。「ササニシキ」は倒伏や耐病性で問題があったものの良質,良食味品種として評価を得てきた。
 しかし,最近良食味とされる新品種が全国的に育成され,新品種を前面に立てての産地間競争に-層の拍車がかかってきている。こうした動きのなかで,山形県の主
力品種である「ササニシキ」の評価も相対的に陰りがみられ,山形県でも県独自の銘柄品種を開発することが緊急の課題となってきた。
 山形県におけるこれまでの良食味品種の開発については,中山問地向け品種の「はなの舞」を育成し,これが消費地で評価を得て「ササニシキ」に次ぐ作付となり,県産米の銘柄確立に貢献している。しかし,平坦部向け品種として開発した「あさあけ」は食味では評価されながら玄米品質に問題があり,広く普及するまでには至らなかった。
 このような状況下で,平成元年度から山形県をあげて銘柄水稲品種開発事業が開始され,これらのなかで品質,食味とも優れた平坦部向け品種の開発にと取り組んできた。
 今回,平坦部向け奨励品種となった本品種「山形45号」および「山形35号」はそうしたなかで育成された。両品種とも中生の「庄内29号」を片親にこしている。この系統は品質が「ササニシキ」に及ばなかったものの,当時「庄内27号」とともに食味官能試験では「ササニシキ」を上回わる評価であった。「山形45号」はこれら系統の改良を意図して育成した系統の1つである。
 先に述べた最近の米を巡る情勢の緊急性を考慮するとともに優れた食味評価と諸特性から,「山形45号」は異例の早さで山形県の奨励品種となったものである。それにともない種子確保が十分でないので,沖縄県石垣島の2期作を利用した緊急採種事業等が展開された。それでも農家に一般普及するのは1年後の1992年となるが,それに向けた栽培指標作成のため各種試験が組まれており,また米販売戦略としての新品種命名の課題が残されている。
 今後,農家,団体,関係機関および行政が一体となって山形県の銘柄品種として定着させていく方向にあり,米消費地での評価が期待されている。
 研究成果を報告するにあたり,山形県立農業試験場本,支,分場の水稲奨励品種決定調査(以下,奨決と略称する)および現地試験を担当された関係者各位,各種の試験を実施して「山形45号」の特性の把握に努められた東北農業試験場はじめ宮城県古川農業試験場の研究関係者各位に対し,深甚の謝意を表する。


来 歴
 「山形45号」は1982年山形県立農業試験場庄内支場において「庄内29号」を母とし,「秋田31号」を父として人工交配を行った。交配組合せの主な育種目標は良質,良食味であり,良食味では特に両親とも評価が高い品種,系統であることから良食味性を期待した。
 雑種第1代(F1)は翌年ほ場で養成し,1984年 F2世代,1985年 F3世代をそれぞれほ場で集団として養成し た。
 1986年 F4世代から選抜が加えられ,個体選抜を行い,F5世代以降系統選抜を行い育成してきた。
 1988年 F6世代から「庄546」の系統番号で生産力検定試験,いもち病抵抗性等特性検定試験を重ねてきた。
 1990年 F8世代からは「山形45号」の地方系統名で奨決および地域適応`性を検討するため現地試験に供試された。これら奨決等で検討された結果,玄米の光沢や形質が優れていることと良食味であることが認められた。食味求評を日本穀物検定協会にも依頼したが,その評価は特Aランクであった。
 米をめぐる情勢として,産地問における販売競争の激化を背景に,山形県としても市場評価の高い良食味品種による品種構成への転換を早急に図る必要に迫られてい
た。
 このような情勢のなかで,優れた諸特性を持っている「山形45号」は奨決1年目という早さで奨励品種候補として山形県農作物品種審議会に諮問された。
 その結果,平成3年4月「山形45号」は山形県水稲奨励品種として採用された。
 「山形45号」の系譜図は図のとおりである。


育成経過
 「山形45号」の育成経過および選抜系統表を第1表に示したが,交配から系統選抜が終わるまで8年を要した。
(1)交 配(1982年8月)
 交配組合せは来歴にあるとおり,良質,多収を主育種目標にしながら食味を重視する交配親の選定を行った。
とくに「庄内29号」や「秋田31号」の食味評価がよいことから良食味系統の育成が期待された。
 この組合せの交配は温湯除雄法により6粒の交配結実種子を得,交配番号庄交82-36を付した。
(2)雑種第1代(1983年)
 雑種第 1代(F1)養成はほ場で行った。出穂期は「秋田31号」より2日早く,「庄内29号」より5日早かった。栽植個体数6株の内,穂重の重い4株について採種した。
(3)集団養成
 F2世代(1984年), F3世代(1985年)とも世代促進用温室のスペースが確保されなかったので,ほ場で自殖集団として養成した。養成個体数は約600個体で,集団の出穂始が8月3日,穂揃期が8月11日となり,出穂期は「秋田31号」より2日遅い8月9日であった。採種は個体毎に脱粒し,次世代種子とした。
(4)個体選抜
 1986年の個体選抜では1650個体を栽植した。この集団の概評は熟期幅が広く,やや長稈,執色の優れたものであったが,立毛としては良の評価であった。集団の出穂
始が8月4日,出穂期か14日,穂揃期が18日であった。
 なお,比較品種の「ササニシキ」の出穂期は12日,父親の「秋田31号」が6日となっており,集団には2回にわたり出穂目印(ペイント)を付けた。
 ほ場選抜は短稈から中稈個体とし,一穂籾数の多い穂重感のある中生から晩生個体を多く選抜した。ほ場選抜個体数は62となり,さらに品質,稈長で室内選抜を加え最終19個体とし,これが翌年の単独系統となった。後に「山形45号」となった系統の稈長は短く,品質は両親と同じ中の上で「ササニンキ」より勝っていた。
(5)単独系統
 1987年単独系統19系統を1系統当り36個体を栽植し,特性を調査した。「山形45号」となった系統番号 F4-265は立毛の草姿でも有望視され,概評は中生の晩と強稈であった。出穂期は「ササニシキ」より1日遅い8月3日であり,葉いもち罹病程度が1と強い抵抗性を示した。また品質も前世代の評価のとおり良質で,後の「山形45
号」としての特性をほぼ具備するに至った。
 系統番号 F4-265のほか3系統も選抜し,次の生産力検定予備試験に供試した。1系統内の選抜個体は4個体とし,これを翌年系統群扱いとした。


 
(6)系統群系統(1988年-F61989年-F7)
 選抜した4系統群に「庄544」から「庄547」の系統番号を付して,1988年F6世代から生産力検定予備試験に供試するとともに品質,食味,耐冷性等諸特性を調査した。
 その結果4系統群とも収量性はキヨニシキに及ばないものの諸特性で優れていたので生産力検定本試験に供試された。とくに「山形45号」となった「庄546」の食味官能試験の結果が「ササニシキ」を基準として0.6と高い値となり注目された。その時の生産力検定予備試験成績を表に示した。
 1989年からの生産力検定本試験および地域適応性検定試験の結果を表に示したが,品質と良食味および諸特性が優れていたので,1989年の成績結果から「庄546」に「山形45号」の地方番号を付し,山形県の平坦部地帯向け系統として奨決で検討されることになった。
なお,F7世代で栽培実用形質は固定された。
 各種の特性検定試験は葉いもちが単独系統から始まりその他は系統群系統扱いとなってから,生産力検定試験とともに調査が行われた。また,育成地での検定のほか,1989年F7世代からは,いもち病真性抵抗性検定を東北農業試験場,耐冷性検定を宮城県古川農業試験場にそれぞれ依頼した。
 1989年から山形県銘柄水稲品種開発事業が開始され,その中で良食味品種の選抜強化のため,食味に関する成分分析計の導入が図られ,蛋白質,アミロース等の分析データが系統選抜に生かされた「山形45号」の両成分は「コシヒカリ」に近いところにプロットされた。
 この事業のなかで食味官能試験については,育成地の検定のほかに,日本穀物検定協会に検定を委託することになり,「庄546」についての検定結果を得た。その結果は,総合評価0.60で供試依頼22系統のなかで最高値であった。
(7)F8世代(1990年)
 この世代から「山形45号」の系統名で山形県の奨決に編入され,中生の晩の系統として,ただちに基本調査が行われた。同時に地域適応性を検討するため現地試験が平坦部において行われた。
 奨決基本調査および現地調査から1か年の試験成績をまとめた。出穂期,桿長等の特性を「ササニシキ」と比較してみると次のように要約される。 これは試験場所が育成地と同じ平坦部であることから前世代の生産力検定試験の結果と同様の結果であった。
 ア 出穂期は2~3日遅い。
 イ 成熟期は並か1日遅い。
 ウ 稈長は8cm程度短い。
 エ 穂数は㎡当たり平均520本で50本程度少ない,中間型である。
 オ 玄米重は標肥で並かやや少ないが(庄内地域),多肥では多い。
 力 品質は1~2ランク上である。
 キ 玄米千粒重は1g程度重く,平均22.5gの中粒である。
 1990年の奨決における概評成績を表に示した。それによると,収量性は並ながら食味等の期待と品質も良いことから有望度は◎から○となっている。草姿は短稈,強桿,止葉の直立などである。食味に関しても1989年から奨決のなかで官能試験を実施することになり,「ササニシキ」を基準にした結果は有意にプラスの差となった場所が多かった。  
 一方,この年も日本穀物検定協会に食味検定を依頼した。その結果は0.60となり,前年の結果と同様「ササニシキ」の0.33より高い総合評価値となった。
 以上の諸特性から「山形45号」は,1991年2月に農作物奨励品種審議会へ諮問され,同4月山形県奨励品種に採用された。今後,山形県の平坦部適応銘柄品種として期待される。


特 性
1 熟期
 「山形45号」の出穂期は「ササニシキ」より平均で2日遅い。地域別では置賜地域の差が少なく,最北支場では4日遅れとなっている(第3図,出穂期)。
成熟期は登熟速度が早く「ササニシキ」並である。登熟速度の差は両品種の一穂籾数の差に起因し,一穂籾数の少ない「山形45号」が早まるものと考えられる(第3図,成熟期)。熟期は,山形県において中生の晩である。
2 草状と穂の関連形質
 以下は「ササニシキ」との比較で記す。
幼苗及び成育中期の草丈は並かやや短く,葉色はやや濃い。葉齢も進みやすく,葉巾はやや広い。
 本田初期生育で茎数は確保しやすいが,最高分けつ期以降は少ない推移となる。また,最高分げつ期以降において葉色もやや濃く観察され,草丈にも差がでて短めになってくる。止葉は立ち,長さはやや短い。
 稈長は標肥,多肥条件とも短く,平均で8cm程度短く,多肥でも伸長しにくい。穂長はやや短く,一穂籾数も2~3粒少ない。穂数は平均値で㎡当り521本で40本程度少なく「さわのはな」程度であるが,茎はやや太く,強稈である。草型は短稈,中間型である。穂揃,熟色,粒着密度ともに並程度であるが,穂波は止葉に隠れる様相である。ふ色,ふ先色はともに黄白である。芒は中で長さはやや長く。「キヨニシキ」並である。脱粒性難の粳種である(特性観察調査成績)。


障害抵抗性
(1)いもち病抵抗性
 東北農業試験場水田利用部育種研究室に真性抵抗性検定を依頼し,幼苗時にいもち病抵抗性推定遺伝子の菌型を噴霧接種した結果, Pi-i,aを持つことが明らかにこされた。育成地の畑晩播による葉いもち抵抗性検定では,「はなの舞」や抵抗性強の「トドロキワセ」より強く表れたが,東北6県の連絡試験によれば「はなの舞」と同じ中の総合判定であった。結果として,葉いもち抵抗性はやや強の判定とした(葉いもち耐病性検定)。
 穂いもち抵抗性は育成地と最北支場の検定結果から「トドロキワセ」並の強の結果となった。しかし,この比較には出穂期の違いもあり,さらに上記連絡試験の結果ではやや強としていることから,穂いもち抵抗性は葉いもちと同じやや強の判定とした(穂いもち耐病性検定)。
(2)白葉枯病抵抗性
 育成地における第II群菌の接種検定結果より,その抵抗性は「ササニシキ」並のやや弱である(白葉枯病耐病性検定)。
(3)穂発芽性
 1988年から3ヶ年の検定結果では,平均で発芽程度5.2(1穂の20%程度発芽)でやや易の「ササニシキ」より少ないので穂発芽性程度は中の判定とした(穂発芽性検定試験)。 
(4)耐伏抵抗性                                                           育成地,奨決の多肥区(N1.3~4 kg/a)における倒伏程度はほとんど倒伏がみられず「キヨニシキ」より明らかに少ない。強稈で稈質もやや剛であることから,倒伏に対する抵抗性は強である(生産力検定試験成績,第5表)。
(5)耐 冷 性
 育成地と宮城県古川農業試験場における長期冷水掛け流しによる検定結果を耐冷性検定試験に示した。育成地の結果は「トドロキワセ」並の強さを示し,「山形45号」より出穂の遅い「コニヒカリ」より不稔歩合が少なく,強の判定となった。古川農試の結果でも「トトロキワセ」よりやや多い不稔歩合だが2ヶ年とも強の判定である。育成地の検定は自然灌概水利用のため出穂の遅い品種の判定にやや不安があるものの,古川農試の施設の整った結果も強であることから「山形45号」耐冷性は強と判定した。
しかし,穂孕期14日間17~19℃の冷温処理の結果(第19表)では「トドロキワセ」,「はなの舞」より弱く「コシヒカリ」,「さわのはな」より強い,やや強から中の判定であった。今後さらに検討を重ねる必要がある。


収量性
 収量性については育成経過でも触れたが,「ササニシキ」との比較で標肥で並かやや低い。しかし,多肥では「ササニシキ」が倒伏することもありやや高い(第3図,玄米重)。収量構成要素は第8表に示したが,穂数,一穂籾数がやや少なく面積当たり籾数が少ない。しかし,玄米粒数歩合や籾摺歩合が高いことから登熟特性がよく,また千粒重が重いことから収量決定要素で収量を確保する傾向がある。


玄米品質及び搗精
(1)品質
 玄米の粒長は「ササニシキ」より長く,「コシヒカリ」よりやや長い。粒幅も両品種より大きい。長さと幅の比は「ササニシキ」,「コシヒカリ」並の中粒,中形種である。粒厚分布は2.05~2.15mmにモードをもち,比較した品種の中では「ササニシキ」に類似する。
 千粒重は「ササニシキ」より明らかに1g程度重く,「コシヒカリ」よりもやや重い。平均で22.5gである(第3図,千粒重)。
 玄米の光沢は「ササニシキ」より優り,飴色の濃淡程度は中である。玄米形質は標肥,多肥とも「ササニシキ」より背白粒,腹白粒が明らかに少なく,また面積当り籾数がやや少ないことから,未熟粒の発生も少ない(第21表)。奨決における品質検査では1等の中から下に該当するのがほとんどで「ササニシキ」,「さわのはな」,「コシヒカリ」より優れている(第5,6表)。検査概評によると,地域,ほ場による変動が少なく安定していて,「ササニシキ」より粒張りが良く,特に整粒歩合が高く安定しているという評価であった。
 これらを総合すれば,「山形45号」のみかけの品質は「ササニシキ」の上の下に対して上の上とみられる。
(2)搗精
 搗精形質として,搗精条件を一定にした場合搗精歩合は「ササニシキ」並で「コシヒカリ」,「さわのはな」よりやや低い傾向がみられる。精米白度は「ササニシキ」並かやや低いが,穀物検定協会の成績ではやや高い傾向であることから,「ササニシキ」並とみられる。
 胚芽残存率は「ササニシキ」並かやや多い(第22,23表)。


食 味
 育成地の食味官能試験の結果は表に示したが,基準を「ササニシキ」として比較した成績である。表中の「ササニシキ」の数値は「山形45号」作付ほ場の近くの試験区のものである。これによると炊飯光沢は「ササニシキ」並であり,官能試験にこおける総合評価は「ササニシキ」を明らかに上回わる結果であり,「コシヒカリ」並となっている。食感として「コシヒカリ」に類似し,粘りとうまさが感じられる。
 奨決でも食味試験を行っており,農業試験場本支分場はもとより,現地試験を担当した各農業改良普及所でも実施した。その結果,すべての場所で「ササニシキ」を基準としてプラスとなり,かつ半数の場所で有意差が認められた(第5,6表)。
 日本穀物検定協会による食味試験結果は,育成経過で触れたように,0.6の総合評価である。同協会の基準では0.6以上が特Aランクとしており,最上級の食味としている。特に総合判定に大きく影響を与えると思われる味,粘り要素の値が優れている。
 食味関連理化学特性として,精米中のタンパク質含有率は標準施肥条件で「ササニシキ」並,「コシヒカリ」よりやや多いが,アミロース含有率では比較品種の中で最も低い。アミロースは登熟温度が低くなる晩生品種ほど高くなる傾向のなかで,「ササニシキ」より出穂の遅い「山形45号」は低く,これが官能試験における粘る特性となっているものと推察される(成分試験成績)。また,奨決における13ケ所(標肥)の両成分の平均値でみると,タンパク質が「ササニシキ」の7.0%に対して「山形45号」が7.2%とやや多い程度であるが,アミロースは「山形45号」が19.5%で「ササニシキ」よりやや低く,「コシヒカリ」の20.2%より低い結果となっている。
 米澱粉の熱糊化性(アミログラム特性)は最高粘度,ブレークダウンともに「ササニシキ」並である。また,多肥条件では糊化開始温度が低く,最高粘度など最も高い値を示した(成分試験成績)。炊飯特`性としてのテクスチュログラム特性(咀しゃく性)値では粘りと硬さのバランスを示す-H/H値は「ササニシキ」並であり,炊飯の付着性(A3)は高い値を示した。


適応地域
 「山形45号」の栽培適地は平坦地域の肥沃地向きで出穂期が遅いことから「ササニシキ」よりやや狭い範囲となるが,気象条件と土壌条件に基づいた作付地帯区分の策定は平成4年の一般作付に向けて検討されている。なお,平成4年の作付予定面積は4,000ha(水稲作付面積の約5%)としており,現在の「ササニシキ」61,000haの一部に入れかわって普及される見通しである。


栽培上の留意事項
 詳細な栽培指標については年次を重ねた成績から策定することにしているが,平成2年の成績から,「山形45号」の優れた特性を発揮させ,米市場における商品性を高めるためには,収量水準を「ササニシキ」並か低めの58~60kg/aと想定すると,留意事項は次のように要約される。
① 主な作付地帯は庄内,村山,置賜の平坦地帯である。
② 良質安定生産のポイントとなる苗質の向上に努める。
③ 最北の平坦地帯においては5月20日頃の移植では出穂期を8月15日まで安定して確保することが困難であ


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